三宅歳雄先生の「透明さ」と「色濃さ」
  WCRP 国際事務総長
                         W・ベンドレイ

 三宅歳雄先生の生誕百年を共にお祝いできることを心より有難く、光栄に思います。

 私は世界宗教者平和会議(WCRP)の事務総長という責務から、三宅歳雄先生のご生涯を通じてなされた多大なる業績のいくつかをしっかりと見させていただきました。
三宅歳雄先生はWCRPの創設者のおひとりでありますが、今日でも先生の影響は残り続けております。そして、世界中から人々が集まり、WCRPが成長していく原動力となっております。

 私の三宅歳雄先生に対する想いというのは、また個人的なものでもあります。親先生は私にとって心の師でもあり、よき指導者でありました。親先生は、私がWCRPの任務を遂行する上で、常に親身になって、ご指導とご援助をしてくださりました。三宅歳雄先生のことを思うとき、いつも二つの言葉を思い出します。それは、「透明」と「色」です。「透明」という言葉は、不思議な感じがするかもしれませんが、私がここで申し上げているのは、魂の深い部分のことで、魂自身の源泉に対して透明になっていくということです。

 三宅歳雄先生は類稀たぐいまれなるお心の広さで、ご自身の源泉――神――の領域に達しておられました。本当に、三宅歳雄先生の性質を顕著に表しているのが、このご自身の源泉――神――に常に近いところに身を置いていらっしゃるということではないでしょうか。だからこそ、私たちが親先生にお会いした時、いつも並々ならぬ深い思いを感じるのです。

 そして、同時に、三宅歳雄先生の行動やお考えが常に新鮮であることや、困難な状況に直面した時でも自然体でいらっしゃることに、また世界中のどこの人々に対しても、変わらぬ優しさを提供されることに、私たちはいつも大いに驚かされていました。

 この稀にみる親先生の魂の「透明さ」と、神への近さということは、「世界の諸宗教の同志の結束を促進したい」という情熱への原動力になって表れてまいります。三宅歳雄先生は、「平和を樹立するためには、世界中の宗教者が互いに協力することが必要である」ということに揺るぎない確信を持っておられました。

 三宅歳雄先生はいろんなところへ出かけ、人々に出会い、この任務におけるどんな苦境にも立ち向かわれて来られました。三宅歳雄先生は、世界の最高指導者のような人々の間でも、社会の底辺で極貧に喘あえぐ人々の間でも、「平和に対する非常に大きな情熱を持った人」として、「平和を達成するためにみんなが一致団結するのを助けてくれる人」として、とても知られていらっしゃいました。親先生は言葉通り、ご自身の源泉――神――を体現することに対して「透明」でありました。

 三宅歳雄先生を表すもうひとつの言葉は「色」です。親先生は神に対して透明でありましたが、ご自身から表れる「色」を常に発しておられました。親先生のユーモア、笑顔、優しさ、厳しく強い精神がおひとりの人格の中に見事に融合し合って「色」となっておられました。親先生のお人柄は、相反するものの融合でもありました。たとえば、強さと優しさ、強靭さと従順さ、自信と謙虚さ、声高なときがあっても常にお静かであられる、というように……。

 三宅歳雄先生を個人的に知っていらっしゃる方は皆さん、先生を愛していらっしゃいます。先生の誠実さ、愛と慈悲の心ゆえに愛していらっしゃいます。皆さんは親先生の情熱となされることの中に「真実」を見出すのです。親先生が宗教者共通の責務としての「平和の樹立」を皆さんに呼びかけてくださります。それ故に、人々から愛されているのです。

 今日、三宅龍雄先生のご教導もとで、三宅歳雄先生の精神は、ここ金光教泉尾教会に息づいています。コミュニティのすべてで、三宅歳雄先生の業績を引き継いでおられます。これらのすべての行いの中に「透明さ」が見られます。われわれは、三宅歳雄先生の中で見ていた神への「透明さ」と、われわれすべてに関わる素晴らしい贈り物のようなコミュニティの中に光り輝く「色」を見ることができます。

 というわけで、現在、世界中で展開しているWCRPの諸活動は、ひとえに三宅歳雄先生と金光教泉尾教会のおかげであるといえます。どうぞ、心からのお祝いの気持ちをお受け取りください。


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