青年会創立八十周年大会 記念講演

『今、アジアに必要なこと!』
AYCムンバイ支部長
ラジャラクシュミ


ラジャラクシュミ氏

6月17日、泉青創立八十周年記念青年大会が開催され、世界連邦アジア青年センター(AYC)国際事務局長のスクマール・デイビッド氏と、AYCムンバイ支部長のラジャラクシュミ氏が、『今、アジアに必要なこと!』という講題で記念講演を行った。AYCは大恩師親先生のお祈りによって1984年3月に発足し、現在では、その活動範囲を南アジアを中心に8カ国11支部にまで広げているアジア有数のNGOである。泉尾教会はAYCの創設以来、現会長である親先生に至るまで、変わらぬ積極的な支援を行っている。最初に講演を行ったラジャラクシュミ氏は、弱冠20歳の時から、2005年12月に発足したAYCムンバイ支部の支部長を務めている。

この度、泉尾教会の三宅光雄先生から、この素晴らしい国を訪れる貴重な機会を与えて下さったこと、そして日本の豊かな伝統文化を体験させていただけることに感謝いたします。国境を越えて様々な国の同年代の方と出会う度に、私は「世界中、どこでも若者は同じだ」という思いを強くします。

私たちには夢があります。洞察力があります。私たちの意欲は人生の先輩方から、また私たちが普段、目で見て、聞いて、学ぶことから来ます。私たちには夢があり、未来のビジョンがあります。また、真摯(しんし)な思いと同時に、見聞きした事柄や学びから、私たちはインスピレーションを得ることができます。人間の情熱や熱意というものは、一時的な儚(はかな)いものであります。ですから、私たちが正しく成長するためには、立派な人生の先輩によって導かれ、育てられることが必要であります。

この1年を振り返る時、私たちの心は喜びで満たされます。1年という期間は、達成感を感じるには短すぎる時間でありますが、AYCムンバイ支部のメンバーは、AYCのゴールを目指して、より強い情熱と共に前進していることを強く感じております。

AYCムンバイ支部を立ち上げることを後押ししてくださった三宅光雄先生を始め、AYC日本支部のメンバー、AYCの他の支部メンバーに、心からの感謝の気持ちと喜びを込めて、この講演を通して、私たちの活動報告をさせていただこうと思います。



▼AYCムンバイ支部発足

AYC国際事務局長のスクマール氏とAYCハイデラバード支部のラメシュ氏が、ムンバイ支部を立ち上げるためムンバイ(旧ボンベイ)を訪れ、若い人々に呼びかけて、2005年12月10日、AYCムンバイ支部が発足いたしました。

スクマール氏はスピーチの中で、AYC会長たる三宅光雄先生の深甚なるご支援と激励の言葉を伝え、そして、AYCの使命と目標を紹介されました。そのスピーチに共鳴して、私たちAYCムンバイ支部は始動する準備ができたのであります。


▼武器移転規制キャンペーン

「武器移転規制キャンペーン」は、2006年1月から6月まで行われ、私たちメンバーは、ムンバイで4,500人ものサポーターを集めました。私たちの活動はATT(武器貿易条約=武器移転禁止条約)を成立させるために武装移転規制キャンペーンをサポートする人たちを集めることから始まりました。そして2006年10月26日、延べ170カ国において、3年に及ぶ活発な活動の後、武装移転規制キャンペーンは大きな成果を得ることができました。

同日、国連総会の軍縮に関する第一委員会において、総合的かつ法的な規制を盛り込んだATT(武器貿易条約)にするための(実効性のある)解決策が可決されました。また、世界中で公聴会が開催され、各国の人々の意見がATTの骨子に取り入れられました。インドでは、こういった公聴会が2月24日(ムンバイ)、3月20日(デリー)、4月15日(チェンナイ)で開かれました。


▼年次活動報告

7月26日、バーハニ大学平和会議
7月26日、AYCは、ムンバイのバーハニ大学において、7月11日に起こった地元の電車での連続爆破テロ事件を批難して、平和会議を開催しました。このテロ事件で何百人もの人々が犠牲になりました。『白いムンバイ』をテーマに、多くのムンバイの人々がこの会議に参加することにより、支援の気持ちを表しました。ゲストのスピーチ、正義、平等、そして世界平和のための平和の歌が、イベントを成功へと導く手助けとなりました。英語でのメディアレポートや地元の新聞が、このイベントを取り上げました。

9月21日、世界平和の日
9月21日の「世界平和の日」に、AYCムンバイ支部は、様々な大学出身の学生を集めて、即興スピーチ大会を主催しました。論題は、地球温暖化、平和、現代の若者が直面する社会問題など、多岐にわたります。この大会は、若い才能ある人たちを集め、彼らの知識を評価する機会を与えました。1等から5等の賞品が現金で与えられました。1等・1,000ルピー(3,000円相当)、2等・750ルピー(2,250円)、3、4等・500ルピー(1,500円相当)、5等・100ルピー(300円相当)。

10月16日、世界食料の日
国連のFAO(食糧農業機構=旧世界食糧機構)が、10月16日を「世界食糧の日」と決めました。FAOは1945年に設立された機関です。AYCムンバイ支部は小さい形でですが、2006年10月16日の「世界食糧の日」を祝いました。私たちボランティアは、ランチ(野菜サモサ、サンドイッチ、グラブ ジャムン、ポテトチップス)を食料パックとして、フルーツジュースと一緒に配りました。このプログラムによって、ムンバイ在住の自治体支援の学校に通う5歳から15歳の250人の子供たちが、食料パックを受け取ることができました。AYCムンバイ支部は学校長から感謝の意を表明されました。

11月14日、こどもの日
インドでは、毎年11月14日を「子供の日」として祝います。1947年から1964年にかけて首相を務めたジャワハルラール・ネルーの誕生日に因んだものです。AYCムンバイ支部は、シオンのJRメタガーデンで「子供の日」を祝うために、たくさんの学校の子供たちを招待して絵描き大会を開催しました。様々な学校から32人の子供が参加しました。子供たちは、年齢ごとに3つのグループに分かれて異なるテーマが示されました。ムンバイで描画・絵画の家庭教師をしているディー・ソランキさんがゲスト審査員となり、子供たちが描いた絵を審査し、グループごとに賞を与えました。


映像を使って解りやすい講演をした
ラジャラクシュミ氏

▼AYCムンバイ支部メンバーの諸会議における活躍

2月
AYC日本事務局の招待により、バングラデッシュのダッカで開催された第7回AYC執行理事会にオブザーバーとして参加しました。

ジャヤント・ドングレとヴィジャヤムは、24日から26日に開催された「平和と正義に関する国際会議」に参加しました。

3月
マニシャ・タンデルは、3月10日、GJアドバニ法科大学にて「チベット国民反乱の日」四十七周年を記念とするセミナーに参加しました。セミナーでは、中国のチベット占領地域における人権問題の悪化に焦点を当てて話し合いが行われました。

7月
AYCムンバイ支部の顧問であるヴィジャヤンが、6月26日から7月6日の16日間にわたってNYで開催された国連の「小型武器規制条約」に関する見直し委員会に出席する特権を与えられました。世界各国の政府代表が二週間集まり、国連のプログラムである「小型武器ならびに軽装兵器の規制」の再評価や、ATT(武器貿易条約)を作るための行動を推進しました。

12月
AYCムンバイ支部は、即興スキット(寸劇)イベントを地元大学文化祭時に開催しました。スキットは自然で、社会問題、暴力、薬、腐敗、女性に対する偏見をトピックにしました。スキットを通して前に起こった暴力、いくつかの爆弾事件のことを大きく取りあげました。上位3名の優秀スキットには賞金(500ルピー)が渡されました。

▼他支部のAYCメンバーとの交流

AYCムンバイ支部は、AYCカナダのザーマン氏とランチョンミーティングをする機会を得ました。ザーマン氏は、AYCムンバイの幸先良いスタートを祝福し、チームが行っているプロジェクトを褒めてくださいました。また、私たちは彼の経験談を聞き、アイディアを頂きました。これに対し、AYCムンバイ支部は喜びを表現し、さらにより良い社会を作るために働いていくことを誓いました。

AYCムンバイ支部の発足1年目の年は、幸先き良いスタートを切ることができました。これからが大変だと思いますが、良い活動を持続していこうと思います。これからも皆様のご支援、励ましをよろしくお願いいたします。


▼2007年度活動計画

私たちは、2007年を今までと同じ情熱とやる気でスタートし、すでに2つのプログラムを始めました。

世界健康の日
私たちはスラム街を訪れ、100人の貧しい子供たちを対象に、衛生用品、歯磨きペーストと歯ブラシ、櫛、髪のオイルを提供しました。また、健康のために良い衛生と清潔習慣の重要性を説明しました。

夏プロジェクト
私たちの2つ目のプログラムは、同じスラム街で、7人のボランティアによって、4月から5月までの4週間の間、毎日、数時間子供たちと触れ合う時間を作りました。私たちは、読み、書き、歌、そしてダンスを教え、子供たちとのセッションを楽しいものとしました。子供たちは徐々にこのプログラムが大好きになり、私たちはそういった子供の反応に喜びを感じました。私たちはこの活動の一部を「ギタナガー・スラム・プロジェクト」に集中させたいと計画しています。

2日間セミナー(案)
もしAYC日本が承認してくださるなら、今年、AYCメンバーを対象とした「暴力に対する若者」に関する2日間のセミナーを開催したいと考えています。具体的には、3人か4人の著名な方を呼んで、若者に重点を置いたアクションを継続させる策についての話し合いです。このプロジェクトが認められれば、2007年の11月か12月に実施していきたいと思います。

AYCムンバイ支部のメンバーに代わり、このスピーチをしましたが、AYC会長である三宅光雄先生の変わらぬ励ましと寛大な支援には大変感謝しております。私たちムンバイ支部のメンバーは、AYCの活動に最大限の努力をし、常に空高くAYCの旗を揚げ続けることを約束いたします。有り難うございました。

(元のスピーチは英語 文責編集部)


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