AYC世界連邦アジア青年センター  創設30周年記念大会
『アジアの青年に期待すること』
外務副大臣
中山 泰秀

6月21日、泉尾教会会堂広前を会場にAYC(世界連邦アジア青年センター:本部チェンナイ、会長親先生)の創設30周年記念大会が、約300人が参加して開催され、インド・ネパール・スリランカ・バングラデシュ・パキスタン・タイ・カナダ各国および日本からの代表らが一堂に会した。中山泰秀外務副大臣が『アジアの青年に期待すること』と題して、英語で基調講演をしてくださった。

中山泰秀外務副大臣
中山泰秀外務副大臣

日本政府と日本国民を代表して、皆さんが遠路はるばる来日してくださったことに、心より御礼申しあげます。私は、安倍内閣で外務副大臣を拝命いたしております中山泰秀と申します。私を今日のこの素晴らしい会にお招きいただいたことに感謝申しあげます。

まず最初に、アジア青年センターの創設30周年に、心からお祝い申しあげます。この記念すべき年に、AYCの大会をわが国、なかんずく私のホームタウンである大阪で開催してくださったことを、とても嬉しく思います。30年というのは、大変長い歳月であります。と同時に、それはただ長いだけではなく、AYCの重要かつ輝かしい実績の歳月でもありました。AYCの活動は、教育や社会貢献奉仕や環境保全活動など、とても広い分野にわたって展開されてきました。子供や若者は、輝かしい未来と無限の可能性というものを持っています。私はAYCが難しい環境に置かれている若者を助けるため、かつ、彼らの夢を実現させるために、深甚なる努力をなさっておられることに大いに感銘を受けました。

外務副大臣としての私の究極の使命は、日本のために、国際社会の中において子供や青年が平和で豊かな生活を送ることができるようにするための環境を整えることです。また、すべての校舎に耐震補強を備えるといった教育政策にも取り組んでいます。これらはすべて、将来の世代に備えるためのものであります。

皆さんはすでに大きな活動を実践されていると思います。そしてそれは、単にあなた方が活動しているだけでなく、将来の運動のための道を切り拓いているということでもあります。さあ、一緒にやりましょう。そのことが、われわれがこの30周年を迎えた今、真に祝うべきことであります。私は神様や仏様のことについてはよく分かりませんが、神仏は崇高な教えを与えるだけはありません。互いを励まし合い、困難な壁を乗り越えるための夢を与えてくれます。もしわれわれがお互いに助け合うのなら、きっと、その困難な目標を達成することができるだろうと思います。

中山泰秀外務副大臣の記念講演に耳を傾けるAYC大会参加者
中山泰秀外務副大臣の記念講演に耳を傾けるAYC大会参加者

現下の世界は、テロ、過激主義、環境破壊、さらに自然災害など、多くの問題を抱えております。もし、われわれが目の前にある資源を分かち合い、互いに手を携えて諸問題に取り組むのであれば、いかなる問題も克服することができるでしょう。「資源」と言った時に、皆さんはおそらく、石油や天然ガスやエネルギーといったような天然資源を想起されたでしょう。しかし、それらは本当の資源ではありません。私たちの本当の資源は、今ここに居る、われわれ一人ひとりの心の中に在ります。だからこそ、私たちは今こうしてここに集っているのです。それこそが、神仏からの答えであります。私たちがすべきことは、面と向かって膝をつき合わせて、相手の感じていることを共有し、お互いに助け合うことです。そして、この世に真の天国をもたらすべく互いに交流するのです。

今年は第2次世界大戦終結70周年に当たる特別な年でもあります。皆さんの近隣諸国(南アジア)も、日本の周辺諸国(東アジア)や一部の日本人も、戦後70年経た今もなお、いろいろと主張しています。その戦争末期に、広島と長崎に二発の原子爆弾が投下されました。しかし、われわれ日本人は日本を爆撃したアメリカを憎んでいません。戦争そのものを、あるいは戦争へと向かう動きを憎んでいるのです。

もちろん、真珠湾で戦争を始めたのは日本です。おそらく、アメリカ人や歴史家の一部には、今なおそのことを非難している人はいるでしょう。しかし、そのことはもうすでに終わったことです。それから70年の歳月が経過しました。われわれは、多くの市民のいのちを失っただけでなく、数え切れない動物や昆虫や植物のいのちも奪われました。何もかもが破壊されました。草根に至るまで失われました。しかし今、われわれはこうして豊かな緑を見ることができ、鳥のさえずりや虫の音を聞き、子どもたちは公園で無邪気に遊び回っています。そこには多くの笑顔があります。

ですから、大切なのは、失われたものを如何に修復するかです。如何に環境を回復させ、われわれの心の中の理想を蘇らせるかです。如何にして未来を再建するかということのほうが、より重要です。これこそが、神仏によって与えられた力であり、真の資源であります。広島や長崎の視点を通して、本当の資源や記憶を分かち合いましょう。私たち一人ひとりが、第二次世界大戦だけでなく、他の戦争や内戦の記憶を有しています。そして、そのうちのいくつかは現在進行形です。それでも、われわれはお互いの意見を交換し合い、お互いの理念を分かち合いましょう。「過去の亡霊」も「未来の平和」も、現に実体を有するものではありませんが、われわれは「過去の亡霊」ではなく、「未来の平和」を掴みましょう。

最後に、私はAYCの理想や理念を共にし、これを支持しております。そして、この意義あるAYCの諸活動が世代を超えて継承されていくことを衷心より希望いたします。AYCのさらなるご発展と、ご来会の皆様のご多幸をお祈り申しあげます。この度は、遠路はるばるこの大阪、泉尾教会へお越しくださったことに感謝申しあげます。日本政府ならびに安倍首相に成り代わりまして御礼申しあげます。有り難うございました。



(元のスピーチは英語 翻訳文責編集部)

 


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