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2019年5月6月合併号

元号は、古典に出拠を有し、その字面は簡略かつ雅馴(がじゅん)にして、その意義は深長たるべきものであり、それまでに俗用されていない漢字2字の組み合わせということになっているので、元号として定められるまでは、特に意味のない文字列に過ぎない。

しかし、明治・大正・昭和・平成と、近代日本150年間の歩みを辿(たど)ってみたとき、「明治という時代」、「大正という時代」、「昭和という時代」、「平成という時代」というふうに、明らかにその時代を生きた人々が共有する時代性というものが付与されてくるものである。
 
新元号の「令和」が、従来のように、中国の古典である四書五経からではなく、日本の古典である万葉集に典拠したのも良い。万葉集はわが国最古の歌集であり、天皇や貴族は言うまでもなく、下級役人から東国の防人(さきもり)に至るまで、様々な人々の歌4,500首を集めたもので、このような文学作品は世界中のどこの国を探しても見当たらない。

「令和」はまさに「オールジャパン」で新しい時代を迎えようという気概に満ちた元号である。