国際宗教同志会 創設六十周年記念総会 ご来賓祝辞 (敬称略)



和宗総本山四天王寺 管長
出口順得


出口順得師

四天王寺の出口でございます。ご指名によりまして、ご祝辞を申し上げたいと思います。この国際宗教同志会が六十周年の記念総会を開かれましたことは、誠におめでたく、心からお祝い申し上げます。60年の長きにわたって、世界平和のためにわれわれの先輩諸師がいろいろとご尽力下さいましたことには、本当にあらためて敬意を表したいと思います。

世界平和というのは人類の悲願でありますが、未だに紛争は絶えません。イラクにおける内戦、あるいはアフガニスタン、イスラエルといったところは、未だに戦争状態であります。しかしながら、これと同時に、国際宗教同志会のような平和運動は、永久に続けなければならないと思います。

日本国内においてもいろいろな問題があります。特に今日(こんにち)は、道徳の問題がいろいろと言われていますが、やはり、根本は宗教の問題ではなかろうかと思います。私は、「日本人は神と仏を拝むこと」を教えなければならないと思いますし、このことは、聖徳太子以来、1400年間続いてきたのです。一時期、明治初年に、神仏分離や廃仏毀釈等がありましたが、結局これもすぐに撤回され、今でも日本の伝統として残っています。

日本人1億2千万人のうち、1億人が仏教徒、1億人が神道を信仰しているとの統計が出ているそうです。これに対し、外国から「人口は1億2千万人しかいないのに、合計2億人では矛盾しているじゃないか」という声があると聞きましたが、現に日本人は、同じ人が神社に参り、またお寺にも参ります。世界平和は、やはり世界の宗教、宗教家が相互協力しなければ実現しませんが、日本は、以前からすでに、異なる宗教を拝んできた訳ですから、この現実を諸外国に理解してもらって、すべての神様をお互いに尊敬し、お互いに世界平和のために協力することを訴えていくことが大切ではないかと思います。

宗教戦争を繰り返しているうちは、永遠に平和がまいりません。互いが互いの宗教を尊敬し、お互いを拝み合うということを日本の実例を示しつつ訴えていくことが大切だと思います。一言、ご祝辞に代えさせていただきます。有り難うございました。


現代における宗教の役割研究会 会長
大村英昭


大村英昭師

ご紹介いただきました大村英昭でございます。ご指名によりまして、ご祝辞を述べるお役でございますが、私は、先ほどご紹介いただきましたように、昨年暮れに開かれました「現代における宗教の役割研究会(通称:コルモス会議)」の理事会において、四代目の会長職をお引き受けしたことにより、ご指名をいただいたと思います。

このコルモス会議は、三宅歳雄先生が中心になって大阪国際宗教同志会様も大変ご尽力なさった1970年に開催された世界宗教者平和会議(WCRP)の直後に結成されました。メンバーとして、カトリック、プロテスタント両派の諸先生方が参加され、京都大学の哲学者である西谷啓治先生を会長にお招きして発足してからすでに三十有余年が過ぎましたが、今日に至るまで継続しております。

このコルモス会議の会長には、初代の西谷啓治先生の後、二代目に国際基督教大学の総長であられた中川秀恭先生――日本聖公会を代表される学者です――、三代目に京都大学の上田閑照先生――禅の研究をはじめとして、日本学士院の有名なメンバーでした――といった錚々(そうそう)たる先生方が歴代会長を務められた訳ですが、長年コルモス会議の事務局をわが浄土真宗本願寺派の教学研究所がお預かりしていることと、そのお世話をさせていただいていた経緯から、この度、図らずも私ごとき力のない者が会長職をお引き受けすることになった次第です。

1971年には、こちらの泉尾教会の初代教会長である三宅歳雄大先生が理事として名を連ねて下さり、それ以降も二代目龍雄先生、そして光雄先生と善信先生のご兄弟に至るまで、コルモス会議には大変なご協力をいただいております。

先ほどのご紹介にもありましたように、ちょうど今から10年前の1997年、時同じく6月に、大阪国際宗教同志会の例会の講師として、こちらの泉尾教会へ来させていただいたことを私はよく覚えております。まだ大先生もご在世で、若輩の私にも優しく声をかけてくださいました。私自身は、一介の学者、あるいは本願寺派という非常に大きな教団の一末寺の僧侶に過ぎませんし、それほど国際性の高い人間でもないため、どうしても小さくなる傾向があるんですけれども、大阪国際宗教同志会の事務局長でもある善信様は、極端に言えばプロデューサー……。

今、『千の風になって』という曲が巷で大変評判になっていますが、この新しいスピリチュアリティは、考えてみれば宮沢賢治の歌にも見つけることができますし、「亡き人が風になって」あるいは「私は墓にはいません」といった話は、日本の仏教民話を紐解けば、いくらでも見つけることができます。しかし、この新井満――長野オリンピックの主席プロデューサーだった人です――という優れたプロデューサーの手により『千の風になって』という曲が広く世間に認知されたことを考えますと、そういう人間の力は必要だなと、あらためて感じます。

その点において、この若いお二人は、お祖父様、お父様とはまた違った意味で、非常に国際性が高く、特に善信様は、まだそれほどインターネットが普及していない頃から、世界とすぐにコミュニケーションが取れるツールとしての有効性を僕らにいろいろとご教示していただいたこともまだ記憶に新しい話であります。

理事長様のお話を承って、取り組んでおられる韓国、モンゴルとの交流など、非常に国際性の高い活動を続けておられる点にも大変感服いたしました。是非、今後ともいろいろとご教示いただき、力及ばない会長をお助けいただく意味で、今後ともコルモス会議へのご協賛をお願いしたいと思います。こんなことを申しますと、祝辞を述べに来たのか、お願いに参ったのかよく判りませんが、今後とも良きお付き合いをご縁にさせていただきたい思いを、ご祝辞に代えさせていただこうと思います。有り難うございました。


辯天宗 管長
大森慈祥


大森慈祥師

ご紹介いただきました大森でございます。ご挨拶を申し上げます前に、この60年の長きにわたりまして、大阪国際宗教同志会の発展のためにご尽力いただきました、創設者であられる故三宅歳雄大先生、そして、故三宅龍雄前理事長様に心から御礼申し上げたいと思います。また、両先生亡き後も、光雄先生と善信先生のお二人が、この会のためにご尽力を下さっていることに、篤く御礼申し上げます。

理事の先生方も本当にご苦労様でした。本日は六十周年記念の総会でございますが、本当に多数の皆様方にお集まりいただき、誠に有り難うございました。おかげをもちまして、盛況のうちに六十周年記念総会を終えることができます。

本日は、ご多忙の中お疲れであろう東大寺の森本長老にお出ましいただいて記念講演をお務めいただき、有り難うございました。皆様に代わり、心から御礼申し上げます。

皆様のご協力によりまして、六十周年記念総会が有意義に終えることができました。心から御礼申し上げ、閉会のご挨拶とさせていただきます。有り難うございました。


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