★米国同時多発テロ事件に対する各教団のコメント★

  9月11日にニューヨークの世界貿易センター(WTC)ビルとワシントンDCの国防総省(ペンタゴン)をターゲットに起こされた「同時多発テロ」事件の首謀者(とされる)勢力ならびにアメリカ政府に対して、内外の各宗教・各教団がいかなる反応(コメントの発表や募金活動等の行動)を執ったかを宗派・教団別に列記し、一般の人々の判断の材料に供したい。     (註:国内の教団については、コメントの発表順に掲載)

▼以下、国内各宗派教団▼

◇天台宗: 天台宗(藤光賢宗務総長)は事件翌日の12日に声明を発表。事件の犠牲者を追悼し、負傷者の快復を祈るとした上で、「この度のテロ行為に対し憤りを禁じ得ません。世界平和のため、世界の宗教者と共にさらなる努力の必要を痛感しております」と発表した。


◇NCC: NCC(日本キリスト教協議会=プロテスタント各派の代表で構成、大津健一総幹事)は12日付けで、「『報復』は、敵意と軍拡の相乗作用を増幅させるだけで、平和を危うくし、人を恐怖に陥れるだけ」とブッシュ大統領宛てに文書を郵送し、武力を用いない解決を要望した。


◇妙智會教団: 妙智會教団(宮本丈靖会会長)では、14日の本部定例供養会で宮本会長を導師に参拝者全員で犠牲者の冥福、一日も早い復興、そして速やかな紛争の解決を祈願した。


◇金光教泉尾教会: 金光教泉尾教会(三宅龍雄教会長)は14日、一般人を巻き込んだテロに対し、「この行為が『神の御名』のもとにおいて行われたとすれば、それこそ『神』に対する最大の冒涜」と抗議。また、米国のブッシュ政権に対しても、「勇気をもって報復攻撃を『自制』すること」を強く要望した。


◇立正佼成会: 立正佼成会(庭野日鑛会長)は15日、会長談話を発表。今回のテロ行為に抗議するだけでなく、米国の報復に対して「暴力に暴力で対抗していくことは、過去の歴史が示すように、新たな暴力、永遠に続く暴力を生み出してしまう」と中止を求めている。


◇大本: 大本(島本邦彦本部長)は15日付けで、テロに対し、「生命の尊厳を否定する蛮行であり、とうてい許せるものではない」としながらも、米国の武力行使については、「大規模な戦争へと発展しかねない」として、「わが国が米国に対して慎重、冷静な判断をするよう促されんことを望む」と、小泉首相宛てに文書を送った。


◇真如苑: 真如苑(伊藤真聰苑主)は15日、シカゴ新精舎で伊藤苑主が導師を勤めて米同時多発テロ犠牲者に向けて、衷心廻尚法要を執行した。


◇浄土真宗本願寺派: 浄土真宗本願寺派福岡教区(羽栗周映所長)は17日、小泉首相が米国の報復攻撃を「支持する」と表明したことに対し、その撤回を求める要請文を送った。要請文は米国の姿勢に対し、報復戦争の回避を欧米に説得することを要請している。


◇日蓮宗: 日蓮宗(渡辺清明宗務総長)は18日、米国のブッシュ大統領に宛てで、テロに対し「遺憾の念」を表明し、「閣下ならびに貴国民の心中をお察し申し上げ、犠牲者となられた方々のご家族に対し甚深のお見舞いを申し上げます」と米国大使館へ見舞い文を郵送した。


◇WCRP: WCRP (世界宗教者平和会議)日本委員会(白柳誠一理事長)は18日、声明文を発表。犯行グループがイスラム原理主義勢力とされている点に触れ、「事件の背景に宗教的心情があると言われていることを憂慮する」とし、米国の報復については「善良な市民を巻き込むことがないよう要望」している。


◇浄土真宗本願寺派: 浄土真宗本願寺派(武野以徳総長)は、20日から犠牲者へ贈る見舞金の募集を開始。10月31日まで京都市下京区の本山総御堂や聞法会館フロント等に募金箱を設置、また郵便振替で募金を始めた。集まった浄財は北米開教本部を通じて贈ることにしている。


◇善隣教: 善隣教(力久隆積教主)では、20日の感謝祭で、犠牲者の追悼、アフガニスタン地域の戦争回避、平和祈願の祝詞を奏上した。


◇真宗大谷派: 真宗大谷派(木越樹宗務総長)は21日、ニューヨーク市へ見舞金100万円を贈ることを決定、またブッシュ大統領と小泉首相の両者へ要望書を送り「テロ行為に対する報復として、武力行使がなされることのないよう強く要望」した。また、『宗務総長コメント』として、「いかなる主義主張があろうとも、『いのちの尊厳』を否定する行為を決して認めることはできません。この度の行為は絶対に許されないもの」とアピールした。


◇宗平協: 日本宗教者平和協議会(宗平協、鈴木徹衆理事長)は21日、米国支援のため小泉首相が自衛隊派遣を決めたことについて「軍事力による制裁・報復は恐怖の悪循環を招くことであり、問題解決の道を閉ざす」こととし、「直ちに自衛隊派遣の表明を撤回されるよう強く求めます」との文書を送った。


◇真生会: 真生会教団(田中偉仁会長)では、事件発生以来、毎朝、総本山真生寺・各教会で犠牲者とこの問題の平和的解決を祈願している。また、23日付けの機関紙で、田中会長が問題に対する考え方を会員に示した。


◇浄土宗: 浄土宗(水谷幸正宗務総長)は25日、犠牲者へ哀悼の意を表わすとともに、『わが身にひきあてて殺してはならない』と法句教の一節を引用しテロを非難、また「報復は新たな悲しみ、憎しみを生み出すのであります」とし、助けあう世界が来ることを望む」ことを発表した。


◇大慧會教団: 大慧會教団は、機関紙『大慧』(10月1日発行)の裏表紙と本部・各道場の掲示板に以下の文章を掲示している。「アメリカにおける同時多発テロの犠牲者のご冥福をお祈りいたします。一刻もはやく世界平和が実現することを祈念します」。


◇松緑神道大和山: 松緑神道大和山(田澤豊弘教主)では、事件発生以後、多くの信徒が大和山光霊殿において、事件の犠牲となられた人々に祈りを捧げている。


◇妙道会教団: 妙道会教団(佐原慶治会長)では、日々の供養のなかで、テロ事件による犠牲者の冥福を祈るよう、会員へ伝達。米国、国際機関への支援、今後予想される難民、特に婦女子に対して、任意の期間を通じて緊急支援を行うことを検討中。


◇真言宗豊山派: 真言宗豊山派(大塚恵章宗務総長)は、大塚総長名で声明を発表、ホームページで公開している。「真言宗豊山派を代表して心からお見舞い申し上げます。この度のテロの根底にある宗教的信念が見え隠れしている報道に接し、問題の深さを感じます。私たち仏教徒は異文化や他宗教と共存できる道を探り続けなければならないと切に考えております。犠牲者各位のご冥福を祈り、同時にこれ以上の対立の拡大が無きようお祈りします」と哀悼の意を捧げている。


◇曹洞宗: 曹洞宗(大竹明彦宗務総長)は、『不殺生』を実践し平和を希求する仏教徒として、このような痛ましく言語に絶する事件が二度と起きないことを祈願した。


▼以下、海外各宗教・教派▼


◇世界教会協議会: 世界教会協議会(WCC、コンラッド・ライザー総幹事)は、テロ事件に「大きな衝撃」を受けたことを明らかにし、世界中の加盟教会に対し、米国教会の指導者が「この恐るべきときに勇気と賢明さが与えられるよう」要請した。


◇カトリック教会: 全世界のカトリック信徒の最高指導者であるローマ教皇ヨハネ・パウロ2世は、「犠牲者と米国人すべてのために祈る」と語った。「教皇がブッシュ大統領へ即座に電報を送り、遺憾の意を表明し、この暗く悲劇的なときにアメリカと祈りにおいて近くにいることを伝えた」と述べた。


◇英国国教会: 英国国教会(聖公会)の最高指導者ジョージ・ケアリー・カンタベリー大主教は「全米に波及したひどい悲劇を知って驚いている。私の祈りと同情は、惨事に巻き込まれたすべての人とともにある」と語った。


◇米国教会協議会: 米国教会協議会(NCC)のロバート・エドガー総幹事は、一連の邪悪な攻撃を非難。キリスト教会、シナゴーグ(ユダヤ教会堂)、モスクその他のさまざまな礼拝堂に祈りと実際的な援助活動に参加するよう要請した。


◇ダライ・ラマ: チベット仏教の精神的指導者、ダライ・ラマ14世は、17日にインドのカルカッタで記者会見を開き、「非暴力こそが、国際テロ撲滅へ唯一の道だ」と述べ、対米テロ事件に対して、アメリカ政府にくれぐれも「軍事力で応酬しないよう」米国に要請した、と述べ、今回の対米テロ事件がさらなる暴力への導火線となり、「憎しみと暴力の悪循環」が進む事態を引き起こさないよう、国際社会に訴えた。


◇合同キリスト教会: 米国合同キリスト教会(UCC)のジョン・H・トーマス議長は、「怒りや復讐といった感情にとらわれがちだが、暴力で暴力に報いたい衝動には抵抗すべきだ。今はわれわれの魂に試練の時だ」と、信徒に呼びかけた。


◇エピスコパル教会: エピスコパル教会(米国における英国国教会=聖公会の呼称)のフランク・グリスウォルド総裁主教は、「多くの人が復讐に言及しているが、それらは、私たちが克服しようと願ってきた暴力そのものを続かせるだけである」と声明で述べた。


◇福音ルーテル教会: 米国福音ルーテル教会のジョージ・アンダーソン総裁監督も、ブッシュ政権に対して、慎重な対応を求めている。「キリスト者として、われわれが今責任ある振る舞いをし、そして厳しい行動にでないことが重要だ」と述べた。


◇長老教会: 米国長老教会(米国におけるスコットランド国教会の呼称)のジャック・ロジャース議長とクリフトン・カークパトリック大会書記は共同書簡を発表。「国家の指導者の適切な対応策は、それが未来に貢献し、いずれにせよ暴力と暴力の繰り返しにエスカレートしないことがわれわれの祈りである」とした。


◇エルサレムの総司教: エルサレムのラテン典礼カトリック教会のミシェル・サバ総司教は、「エルサレムのキリスト者共同体と全パレスチナ人は、この恐るべき犯罪を非難する。この大惨事にショックをを受け、それがテロという恐るべき行為によって起こされたことを哀しむ。テロ行為の行く先がどのような破滅なのか想像もできない」と述べた。


◇中東教会協議会: 中東教会協議会(MECC)は、米国の「友人と同僚」にメッセージを送った。「悪が頭を上げた。あなた方に私たちの愛と同情を差し出す。この現実に堅く立ち、あなた方はこの悲劇的のな時を克服するであろう。国々の癒しを求め、そして善をもって全ての悪を克服しよう」と述べている。


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