宗教界が「チベットの現状」について学習会

 09年02月10日

 2009年2月10日、神道・仏教・新宗教・キリスト教などの指導者で構成され、わが国の諸宗教対話協力団体として最も古い歴史を有する国際宗教同志会の平成21年度総会が、京都市山科区の一燈園(西田多戈止当番)を会場に開催され、百名を超す参加者が集った。


百名を超す聴講者があった国際宗教同志会の講演会

 中国人民解放軍の侵攻を避けてチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世が、ヒマラヤを越えてインドへ亡命するため密かにポタラ宮殿を脱出した1959年3月10日の五十周年記念日まであと1カ月と迫ったこの日、チベット亡命政府のダライ・ラマ法王日本代表部事務所のラクパ・ツォコ代表を講師に招いて『チベットの現状と特別会議について』と題する記念講演を行い、同じ仏教国であるにもかかわらず、欧米各国と比べてもまだまだ馴染みの薄い日本人のチベットの歴史に関する学習会を行った。


熱弁を揮うラクパ・ツォコ代表

 国際宗教同志会の事務局長をつとめるレルネットの三宅善信代表とラクパ・ツォコ氏とは、2007年にはダライ・ラマ14世法王と会談するため共にダラムサラを訪れて以来の仲で、また、三宅代表が事務局長を務めた2008年のG8宗教指導者サミットでは、チベット問題を大きく採り上げた。さらに、三宅代表は「宗派を超えてチベットの平和を祈念する僧侶の会」の顧問も務めている。


ラクパ・ツォコ氏の講演に耳を傾ける宗教指導者たち

 ラクパ・ツォコ氏は、チベット民族が7世紀に建てた吐蕃王国と大唐帝国以来の歴代中華諸王朝との関係から紐解き、特に、中華人民共和国成立直後からの共産党政権が如何にチベット人を抑圧してきたか。さらには、中国が「西蔵(チベット)自治区」と呼ぶ地域は、本来の「チベット」の版図の西半分(チベット名「ウ・ツァン」)に過ぎず、現在は、中華人民共和国の青海省・四川省・甘粛省・雲南省等に編入されている東半分の地域(チベット名は、「アムド(ダライ・ラマ14世の出身地)」と「カム」)も「チベット」であるという観点から、本来のチベット三地区に住むチベット人と、インドやネパール、ブータンで亡命生活を送るチベット人たちの民族としての統一性について意見を表明し、聴講した宗教指導者たちと意見交換を行った。


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