国連「宗教対話と理解の十年」に向けてNYで準備会議

 09年03月02日〜04日

 2009年3月2日から4日まで、ニューヨーク市近郊のオッシングにあるメリノール修道会本部において、2011年から始まる国連「平和のための諸宗教間と諸文化間の対話と相互理解と協力の十年(略称:「国連宗教対話と理解の十年」または「UN DECADE」)の第2回準備会議が開催され、三宅善信代表を含め諸宗教対話団体や国連関係団体の代表四十数名が一堂に会した。


メリノール修道会本部で記念撮影をする会議参加者

 ハーバード大学のサムエル・ハンチントン教授の著作『文明の衝突』に対抗する形で、2001年9月に開会される国連総会は、当時のイランのモハマド・ハタミ大統領が提唱した『文明間の対話』というテーマで行われる予定であったが、ちょうどその日に、「9・11同時多発テロ」が勃発し、その後の世界が「テロとの戦争」という際限のない暴力の応酬に拡大していったことは、記憶に新しいところである。


「国連宗教対話と理解の十年」全体会議の様子

 そこで、国連総会の決議によって、2011年から2020年までの十年間、「国連宗教対話と理解の十年」を実施することになったが、これを受けて、国連経済社会理事会に総合諮問資格を有する国際NGOを中心に、この意味ある十年間を国益のぶつかり合いの場である政府間のパワーゲームにすることなく、人類社会にとって真に意味のあるものにするために、チリのヘラルド・ゴンザレス博士が提唱し、宗教界が積極的にイニシアティブを取っていくことになった。


三宅善信代表が参加した分科会の様子

 メリノール修道会本部で開催された第2回の準備会議には、ゴンザレス博士をはじめ、ニューヨークに拠点を置くWCRP(世界宗教者平和会議)やTOU(理解の殿堂)や、最近、発展がめざましい諸宗教対話団体であるCWPR(万国宗教会議のための評議会)やURI(宗教連合イニシアティブ)、さらには、老舗の諸宗教対話団体であるIARF(国際自由宗教連盟:本部大阪)やWCF(世界信仰会議:本部オックスフォード)の代表、また、国連欧州本部のあるジュネーブに拠点を置くWCC(世界キリスト教協議会)やCONGO(国連NGO協議会)やILO(国際労働機関)、さらには、WFB(世界仏教連盟)やイスラム教・ユダヤ教・ヒンズー教・バハイ教・シーク教・ゾロアスター教などの宗教別の国際連合体の代表が一堂に会した。

 注目されたのは、これらの諸宗教対話団体に混じって、日本の単独宗教団体として、国際的に活動を展開している創価学会と立正佼成会と金光教泉尾教会が代表を派遣していることである。


数年に一度という大雪に見舞われたNY一帯


 昨年ジュネーブで開催された第1回準備会議に続いて開催された今回の会議は、折から「数年に一度」という猛吹雪で交通が大混乱したニューヨークで開催されたが、「新しい諸宗教対話団体を設立する」のではなく、あくまで「諸宗教対話団体間の協議体」であるこの会議の今後の活動方針やあり方を決める運営委員会や国連への提言文起草委員会等の各委員会の構成が行われた。


国連本部内の経済社会理事会議場の三宅善信代表

 最終日の3月4日の午後は、会場をマンハッタンの国連本部内の経済社会理事会議場に移し、同理事会への参加国や諸NGOに対して、今回の会合で決定した事項についてブリーフィングを行った。なお、次回の会合は、2009年12月にオーストラリアのメルボルンで、1万人を集めて開催される万国宗教会議の際に、併せて開催されることが決まった。



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