日・韓・朝の宗教者が四天王寺で
植民地政策殉難者慰霊祭

 09年05月17日

  2009年5月17日、和宗総本山四天王寺で、「NPO法人ニッポンコリア友好平和協議会」主催による植民地政策殉難者慰霊大祭ならびに講演会が二百数十名の参列者が一堂に会して開催され、在日の韓国民団、朝鮮総連の代表はもとより、韓国からはカン・クムシル(康錦実)元法務部長官をはじめ多数が来日した。


慰霊祭を終え、四天王寺五智光院で
記念撮影する参列者

  20世紀前半の日本の植民地政策によって日本本土にわたり、心ならずもこの地で最期を遂げた朝鮮半島出身者の慰霊大祭が、1984年以来、京都府相楽郡南山城村の日本曹渓宗総本山高麗寺において「日韓友好平和の塔を守る会」の主催で四半世紀にわたって仕えられてきたが、昨年、同会が発展的に解消して新たに「特定非営利活動(NPO)法人ニッポンコリア友好平和協議会」(奥田聖應和会長)が結成されたのに伴い、古代百済王朝時代以来、朝鮮半島との交流がなされてきた和宗総本山四天王寺を会場に同慰霊大祭が開催されることになった。

  17日午後1時、韓式に荘厳された四天王寺の本坊五智光院において、同協議会の富永勇専務理事による開会辞に続いて、高麗の伝統音楽(雅楽の一種)が流れる中、在日の代表が献燈・献花し、ニッポンコリア友好平和協議会の役員が焼香を行い、第26回慰霊大祭が始まった。


鎮霊詞を奏上する三宅善信代表

  最初に、神式の装束で正装した三宅善信代表(金光教泉尾教会総長)が霊前に進み、「鎮霊詞」を奏上、続いて、4月1日に四天王寺第111世管長に晋山したばかりの奥田聖應猊下を導師に日本人式衆が霊前で、「誓いの祈り」として『観音経』(妙法蓮華経観世音菩薩普門品)と「十念」(念仏十遍)を唱え、神仏両式で法要を行った。

  続いて、奥田聖應会長が「大会辞」(主催者挨拶)を述べ、金漢翊在日本大韓民国民団大阪府地方本部団長、金光徳在日本韓民族佛教徒総連合会会長、左藤章前衆議院議員、歌人の笠井直倫医学博士らが「追悼辞」を述べた。司会者から、今回の慰霊祭のために特別に来日した韓国のカン・クムシル元法務部長官(法務大臣)が紹介された。


五智光院で仕えられた異国情緒満点の慰霊祭

  さらに、韓国の人間国宝である舞踊家の張智恵女史と民族歌謡家の洪徳子女史による「鎮魂の祈り」が霊前に奉納され、25年間の長きにわたって殉難者慰霊大祭を開催してきた日本曹渓宗総本山高麗寺の釋泰然管長が「祭文」を奉読し、釋管長を導師にコリア式衆が読経回向する間に、参列者全員が焼香した。


ニッポンコリア両式衆合同による般若心経の読誦

  最後に、ニッポンコリア双方の式衆が霊前に進み、合同して『般若心経』を唱え、参列者全員で『アリラン』を唱和し、ニッポンコリア友好平和協議会の坂本峰徳理事長代行が閉会辞を述べて、第二十六回の慰霊大祭は終了した。


記念講演を行うカン・クムシル
元大韓民国法務部長官

  引き続き、3時15分から、今回から新たに始められた第1回の講演会として、長年「日韓友好平和の塔を守る会」の理事長職を務め、「ニッポンコリア友好平和協議会」の顧問でもある水谷幸正佛教大学理事長・浄土宗元宗務総長と、カン・クムシル元大韓民国法務部長官と、柳球采京都府朝鮮人強制連行真相調査団代表の三名が、半島出身殉難者の犠牲を無にすることなく、悲惨な植民地支配等のない平和な世界を建設することを誓い、日・韓・朝・在日の狭間に位置する不遇な人々の福祉の増進と将来を担う学生の奨学金創設等を目指すための講演を行った。


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