三宅代表 元チーフパーサーの白石純子氏と対談

 04/18

 4月18日、三宅善信代表は、この夏の参議院議員選挙に大阪府選挙区から立候補を予定している白石純子氏の表敬訪問を受けて、内外の諸情勢について意見交換をした。

  白石純子氏は、ANA(全日空)の元チーフパーサーで、労働組合の副委員長や新入社員の教育係等を務めた経歴を持っているが、5年前に結婚して同社を退職後は、ごく普通の主婦であり、一児の母であった。ところが、小泉政権下の日本社会が「構造改革」の美名の下にどんどんと劣悪化していくのを感じて、まったくの素人にもかかわらず、小泉・竹中路線の目指したものが決して「グローバル基準」でないということを社会に訴えるために、国民新党から立候補を表明したものである。



白石純子氏と懇談する三宅代表

  三宅代表と白石氏との関係は、2月16日に三宅代表の進行によって行われた軍事アナリスト小川和久氏の講演会に白石氏が参加したことから始まるが、その講演会で白石氏は、国家安全保障の問題の奥深さと、いかに日本の政治家・官僚・学者・マスコミ等がこの問題に対して無知であるかということにショックを受け、その後もたびたび三宅代表の元を訪れ、「縄文からドラえもんまで」と実に広範囲にわたる諸問題に見識の深い三宅代表から教えを受けている。

この日は、たまたま前日に、日米両国で起きた拳銃を使った痛ましい事件、すなわち、日本では、統一地方選を戦っていた現職の長崎市長伊藤一長氏が暴力団員に射殺された事件と、米国では、バージニア工科大学の韓国系学生が校内で銃を乱射し32名を殺害するという事件を元に、安心して暮らせる社会のあり方等のテーマについて話し合った。「ガンコントロールが不可能」と言われるアメリカ社会においても、少なくとも飛行機内では、拳銃の所持が厳しく制限されている事実からも、ガンコントロールはやり方によっては可能であるという点等が合意された。




【対 談】

気がついた人から始めよう

                       白石純子
                       三宅善信



三宅善信代表との対談で盛り上がる白石純子氏

三宅  本日は、よくお参りになられました。


白石  こちらこそ、お忙しい先生がわざわざお時間を作ってくださり、ありがとうございます。


三宅  たしか、白石さんが初めて泉尾教会に来られたのは、2月16日の大阪国際宗教同志会の例会の際でしたね?


白石  はい。あの時は、講師が軍事アナリストの小川和久先生で、目から鱗が落ちるお話の連続で、長らく国際線の客室乗務員の仕事をしておりましたので、一般の方々よりは少しは国際情勢について知識があると思っていたことが、小川先生のお話で木っ端微塵に打ち砕かれました。


三宅  小川先生は、私の大学の先輩ですが、いつも話がどぎつくて……。あれだけ歯に衣を着せずに発言したら、「敵」も多いでしょうが……。その分、こちらはよい勉強になります。


白石  三宅先生のおっしゃるとおりで、私も最初は「なんて酷いことを言う人…」と思いましたが、お話を承るうちに、自分自身の、いや日本人全体の「甘ちゃん」ぶりが自覚させられて、「一念発起、勉強してみよう」という気にさせられました。


三宅  それは良かった。講演会の企画者としては、そういう方が一人でも増えることが最も嬉しいことです。

ところで、白石さんは、全日空の元チーフパーサーで、労働組合の副委員長や新入社員の教育係等を務めた経歴など、人も羨(うらや)むほどの「キャリアウーマン」でしたが、結婚して同社を退職されてからは、こう言っては失礼ですが、ごく普通の主婦として一児の母になられたのに、何故また、最近のような政治活動を始められたのでしょうか?



白石順子氏

白石  よく訊いてくださいました。客室乗務員をしていた頃も、お客様に喜んでいただくことを最優先に考えておりましたが、組合や職場の環境も私の理想とはほど遠く、また、若い社員の教育係をさせていただいてからは、個々人の資質の問題というよりは、現代の日本の社会が根本的な問題を抱えていると思うようになったからです。

とは言いながら、私も会社を退社して家庭に入り、この数年間、育児を行ってきましたが、その間にも、小泉政権下の日本社会が「構造改革」の美名の下にどんどんと崩壊していくのを感じて、まったくの素人にもかかわらず、小泉・竹中路線の目指したものが、決して人間が普遍的に目指すべき「世界標準(グローバルスタンダード)」ではないということを社会に訴えるために、再び、人々の前に立とうと思ったからです。

三宅  たしかに、過去三十数年間にわたって、世界でも類を見ない「総中流」社会を実現したかに見えた平和で豊かな日本社会でしたが、ここ数年間は、「格差」が拡がるばかりで、若者たちは「必死に頑張っても、どうせ(結果は)たかが知れている」と投げやりになり、幼気(いたいけ)な子供を親が虐待死させたりと、これまで考えられなかったような社会に堕落しつつあります。これが、小泉改革が目指したアメリカをモデルにした「新自由主義経済」社会の行き着く理想的な社会なんでしょうか?


白石  もし、こんな社会が「構造改革」の結果として、日本にもたらされる「世界標準」の社会だとしたら、そんな「世界標準」はこちらから願い下げです。たしかに、アメリカ社会は良い面もたくさんありますが、基本的には、ビル・ゲイツのような、ごく一部の「超お金持ち」と、大多数の貧しい人々からなる階層社会で、やはり不健全だと思います。それに、社会的貧困が暴力を誘発することは、アメリカ社会で実証済みですからね。


三宅  そうそう。昨日(4月17日)、日米両国で拳銃を使った痛ましい事件が相次いで起こりましたからね。日本では、統一地方選を戦っていた現職の長崎市長伊藤一長氏が暴力団員に射殺され、米国では、バージニア工科大学の韓国系学生が校内で銃を乱射し32名を殺害するという象徴的な事件が起こりましたね。しかも、少し前だったら「大事件」であったであろうこのような痛ましい事件のニュースを聞いても、われわれ自身が「慣れっこ」になってしまい、驚かなくなってしまっていること自体のほうが、問題の根が深いです。


白石  そうなんですよ。「あってはならないこと」に対して、付和雷同する輩(やから)は問題外だとしても、大多数の日本人に見られるように、積極的に反対の意思を表明しないことも、結果的には「あってはならないこと」を容認してしまっているという点で、言葉はきついかも知れませんが、付和雷同している連中と「同罪」なんですよね。

ちょうど、クラスでいじめが行われている時に、何もいじめっ子と一緒になって苛めなくても、誰かが苛められている現場を見て見ぬふりをしている子どもたちは、苛められている子から見れば、結果的には苛めている子と同類なんですよね。


三宅善信師

三宅  そのとおり。しかも、自分は直接苛めている訳でないので、自分の意識としては「苛めてない(無罪だ)」と思っているので、その点では、実際に苛めている子(本人は「苛めている」という罪の意識が必ずどこかにあるから)よりも、傍観している子のほうが罪深いんです。

白石  「直接苛めている子よりも、いじめを傍観している子のほうが、罪の自覚がないからより罪深い」とは、さすがに宗教家の先生のおっしゃることは、意味深ですね。


三宅  ものごとは「抑制(コントロール)」の、あるいは「程度」の問題なんです。暴力にしても、殺人にしても、戦争にしても、人類の歴史始まって以来、今日まで絶えることなく継続しています。これを、「非暴力」や「不殺生」や「絶対平和」などと理想論を説くのは、言葉は美しいですが、かえって無責任な発言だと思います。オール・オア・ナッシングの議論じゃなくて、自分が気がついたことから、自分でできることから、少しでもやっていくということが、結果的には、物事が良い方向へと向かってゆく秘訣です。


白石  なにやら、市井の一主婦にもできそうな気に…、否、「自分の気がついたことからドンドンとやり始めて行かなければならない」ということを促されているような気がします。


三宅
  それほどのことではありません。例えば、先ほどの「銃」の問題でも、「銃があってはならない」という理想論を吐くことは簡単です。しかし、現実に、世界中には何億挺もの銃器が存在します。これを一挙に廃棄させることなど不可能です。というよりは、人間という生き物の性(さが)として、「殺人」は常に存在し続けます。たとえ、銃がこの世から無くなったとしても、それに代わる物で殺人を行うでしょう。

でも、少しでも安心して暮らせる社会を実現するためには、「銃規制(ガンコントロール)」は重要なテーマです。例えば、「銃規制は不可能」と言われるアメリカ社会においても、少なくとも飛行機内では、拳銃の所持が厳しく制限されている事実からも、銃規制もやり方によっては可能であるということでしょう。


白石  そうなんです。「一般市民による銃の所持」が公認されているアメリカでも、「飛行機に乗るときは銃器は持ち込めない」ということは、社会的にはコンセンサスが取れています。「公の場所での禁煙」の制度も、ある意味では「機内の禁煙」から拡がったような面があります。


三宅  なかなか航空会社もやるじゃないですか(笑い)。


白石  そうですね。捨てたもんじゃない(笑い)。


三宅  ですから、白石さんも、航空会社での経験、また、子育てしている現役の主婦としての経験。さらには、阪神淡路大震災の際には、避難所暮らしを強いられるという「被災者」の経験もされたと伺いました。これらを活かしてください。


白石  あの時は、泉尾教会様も大変な救援活動を行われたと伺いました。宗教が、ただ祈るだけではなくて、現実の生活を営む人々に救いの手を差し伸べる……。宗教としての理想的姿だと存じます。今後ともいろいろとご教導くださいませ。


三宅  いえいえ、こちらこそ。その名のとおり、「真っ白で純心な」白石じゅん子さんの活動を応援しておりますので、ますます頑張ってください。


白石  本日は、いろいろとありがとうございました。


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