日中交流1400年記念国際シンポジウムを運営
05/08〜09
5月8〜9両日、住吉大社にて、日中交流1400年記念国際シンポジウム『住吉津より波濤を越えて――遣隋使・遣唐使がもたらしたもの――』が日中両国の研究者を招いて開催され、1,200名以上の聴衆が参加した。三宅善信代表は、当シンポジウムの事務局長として、3年前の構想段階から関わり、シンポジウム期間中はコーディネータを務めるなど、中心的な働きをした。
連日600名以上の聴衆が訪れ大盛況であった |
2007年は、推古天皇15年(607年)に、小野妹子が有名な「日出づる処の天子…」で始まる国書を奉じて隋の煬帝の元を訪れて以来1400年目の佳節に当たり、日中両国で記念シンポジウムが行われることになった。ほとんどの遣隋使・遣唐使が、海上交通の神でもある住吉大社前の住吉津(すみのえのつ)より出立したとの伝承により、住吉大社の会館吉祥殿を会場に今回のシンポジウムが内外の協力を得て開催された。
5月8日、開会式は、津江明宏今宮戎神社宮司の司会のもと、日中交流1400年記念国際シンポジウム実行委員会会長の衆議院議員中馬弘毅氏(日中科学技術協力会議代表理事)の開会の辞で始まり、本シンポジウムの共催団体である浙江工商大学の胡祖光学長と四天王寺国際仏教大学の奥田清明学長が祝辞を述べ、会場を提供した住吉大社の真弓常忠宮司が趣旨説明を行い、羅田廣中華人民共和国駐大阪総領事が記念スピーチを行った。
三宅善信代表の絶妙の進行で大いに盛り上がったパネル討議
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続いて、三宅善信代表の司会で、浙江工商大学日本文化研究所の王勇所長が『日本に骨を埋めた鑑真』と題する基調講演を、また、奈良大学の東野治之教授が『唐に渡った人々』と題する基調講演を行った。昼食を挟んで、中国社会科学院日本文化研究所の蒋立峰所長が記念スピーチを行い、京都教育大学の和田萃名誉教授が『遣隋使と大化の改新』と題する基調講演を行った。二胡の演奏のアトラクションの後、パネルディスカッションが行われた。
本シンポジウムの共催団体でもある神道国際学会の常任理事も務める三宅善信代表がコーディネータとなって、『住吉津より波濤を越えて』と題するパネルディスカッションが行われた。パネリストは、基調講演を行った三名の専門家に加えて、神戸商船大学の松木哲名誉教授、日本海事史学会の上田雄理事、皇學館大学の真弓常忠名誉教授という多彩な顔ぶれであったが、そもそも、@遣唐使は何回派遣されたかハッキリしない。Aどういう船を用いたかハッキリしない。B住吉津もしくは難波津のどちらから発出したか判らない。という遣唐使に関わる三代難問の問題点について、コーディネータの丁々発止の狂言回しの下、予定されていた二時間二十分があっという間に過ぎるというパネル討議であった。
主催者を代表して謝辞を述べる三宅善信事務局長
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この後、晩餐会が催され、観世流シテ方の片山清司氏と分林道治氏による半能『石橋』が奉納され、来賓を代表して森本公誠東大寺長老(前華厳宗管長)と、前駐中大使夫人で自覚大師円仁の研究者でもある阿南バージニア女史が挨拶を述べ、主催者(実行委員会)を代表して三宅善信事務局長が謝辞を述べた。
二日目は、東大寺長老森本公誠猊下導師の下、東大寺の僧と住吉大社の神職が奉仕して、遣隋使・遣唐使に縁のある人々(日本人だけでなく、漢人、百済・新羅・高句麗人、渤海人、インド人、胡人等)の慰霊祭が執行され、二百数十名の氏名が荘厳な二月堂修二会(お水取り)の法要のリズムで読み上げられ、参拝者一同、故人に思いを致し、厳粛な雰囲気に包まれた。
森本公誠長老の導師で勤められた厳粛な慰霊祭
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その後、AとBの分科会に分かれて、より細かな内容についての研究発表が行われた。A分科会では、神道国際学会の梅田善美理事長座長の下、泉敬史札幌大学教授、畑中智子京都女子大学非常勤講師、李美子浙江工商大学日本文化研究所講師、上田雄氏、松木哲氏が発表を行い、B分科会では、南谷美保四天王寺国際仏教大学教授、吉田扶希子西南学院大学講師、水口幹記浙江工商大学日本文化研究所助教授、高井道弘住吉大社権宮司、清水潔皇學館大学教授らが発表を行った。
午後からは、1800年前の住吉大社鎮座に由来する「卯之葉神事」が第一本宮で仕えられ、また、石舞台では、天王寺楽所雅亮会による舞楽が奉納された。
引き続いて、記念フォーラム『遣隋使・遣唐使がもたらしたもの』が開催され、王勇教授のコーディネータの下、王寶平浙江工商大学日本文化研究所副所長、清水潔教授、泉敬史教授、水口幹記助教授、南谷美保教授らがパネリストとなって二日間のシンポジウムの討論を踏まえて、ディスカッションが行われ、最後に、梅田善美氏が総括を行った。
東大寺で案内を受ける一行と法隆寺での記念撮影
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続いて、津江明宏師司会の下、閉会式が行われ、中馬弘毅実行委員長、森田俊朗和宗総本山四天王執事長、真弓常忠住吉大社宮司らの閉会の辞でもって二日間にわたる国際シンポジウムの幕を閉じた。なお、本年9月に、同様のシンポジウムが中国杭州市の浙江工商大学に於いて開催されることが発表された。また、翌5月9日には、中国からの参加者を中心に、遣隋使・遣唐使に縁の深い、南都の東大寺、唐招提寺、法隆寺、奈良国立博物館を視察し、1400年の時を経て現代に伝わる文物に触れ、感慨を深めた。