三宅善信代表 COP13(温暖化防止会議)に参加

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 三宅善信代表は、2007年12月2日から6日にかけて、COP13(気象変動枠組条約第13回締約国会議)が開催されているインドネシアのバリ島を訪れ、国連経済社会理事会に総合諮問資格を有するNGOのひとつWCRP(世界宗教者平和会議)日本委員会の開発・環境委員会の副委員長として、同会議に参加した。



温暖化防止会議の入口に立つ三宅善信代表

 俗に「地球温暖化防止会議」と呼ばれているCOP会議の構造は、その機能のどの面を強調するかによっても、他にもUNFCCC(国連気象変動枠組会議)をはじめ、類似の国際会議が多数存在し、なおかつ、それらが同時並行的に開催されるが、いずれにしても、人類にとって(人類以外の地球上に棲息する多くの生物種にとっても)喫緊の課題である「地球温暖化の抑制」にどう取り組むかについて協議する最大の機会である。

そもそも、以前から専門家の間では問題となっていた「地球温暖化」という概念が、一般市民や各国の指導者に広く知られるようになったのは、1992年にブラジルのリオデジャネイロで開催された国連環境サミット以来のことである。COP(Conference Of Parties=締約国会議)は、このサミットを受けて1995年に始められた気候変動を抑制するための国際的な枠組みで、特に、1997年に京都で開催されたCOP3の際に、日米欧等の先進国に削減の数値目標を設定した二酸化炭素等の温暖化ガスの排出抑制を求めた『京都議定書』が採択されたことは、広く知られているところである。



開会式の行われた会場で

  ところが、1997年当時最大の二酸化炭素排出国であったアメリカ(当時のクリントン政権では、アル・ゴア副大統領が特にこの問題に熱心であったことは言うまでもない)が、ブッシュ政権に交替した2001年、「途上国に排出制限義務を課さない京都議定書は不公平で、アメリカの国際競争力を弱めるだけだ」と言って、突然、『京都議定書』からの離脱を宣言した。また、『京都議定書』採択時の議長国であった日本も、『京都議定書』が要求する「1990時点の排出量からの6%減」が目標として設定されているにもかかわらず、2007年の現時点では、削減どころか逆に「8%増」となってしまっており、来年から始まる削減実施約束期間である2008年から2012年までの5年間で、現状から14%を削減することは不可能であると言えよう。おまけに、近年の中国やインドの猛烈な経済発展は、炭酸ガスの総排出量においては、アメリカすら凌駕する勢いになっている。



温暖化防止会議のステージに立つ三宅善信代表

 さらに悪いことに、地球温暖化の進展(悪化)は、専門の科学者が予測したよりも遥かに早く進行(悪化)しており、ことここに至っては『京都議定書』が求める数パーセント程度の削減というような甘いレベルの話ではなく、実は、東京大学の山本良一教授が主張するように「70〜80%の削減が必要」というようなドラスチックな社会構造の変更が迫られていると言われている。

  1992年のブラジルでの会議以来、地球温暖化問題に関わっている三宅代表は、国連経済社会理事会傘下の総合諮問資格を有するNGOのひとつWCRPの開発・環境副委員長として、今回のバリ国際会議場で開催されたUNFCCCのCOP13に参加したが、近年この問題に関する世界的な関心の高さから、各国政府だけでない、世界中から実に多くのNGO関係者や報道陣が詰めかけており、また、この数年間に二度も爆弾テロ事件があったバリ島だけに、インドネシア政府は警察だけでなく軍も動員して、会場地区を何重にも取り囲むという物々しい警備体制であった。



街中物々しい警備が行われているバリ島

  会議の中で注目されたのは、十年前の京都会議の際には、主要な排出国は日米欧の三極であったが、現在ではむしろ、経済開発が急速に発展している中国やインドをはじめ「途上国(developing countries)」と呼ばれる国々に移りつつある現状を背景にして、今回の温暖化防止会議は、途上国77カ国(「G77」と呼ばれる)を“配下”に従えた中国のリード下で進行され、日本政府は完全に「蚊帳の外」に置かれている。国民の環境意識も高く、また、企業に省エネ努力を負わせている日本の政府が肩身の狭い思いをして、環境意識なんか微塵もなく、温暖化ガスや産業廃棄物をまき散らし放題まき散らしている中国の政府がでかい面をしている現状を見るとき、日本外交の無策降りがここでも明らかになっている。マキャベリズムが幅を効かす国際政治の舞台では、「陰徳を積む」ことなどなんの意味も持たなくて、アピールプレイで自分の支持者を増やすか、相手を貶めるかのどちらしかないのが現状である。


激しくアピールして会議を有利にリードする中国代表(左)と、
あまり支持を得られない日本代表(右)

事実、三宅代表がバリにいる間の日本政府代表(外務省)の発言(英語の流暢さでは、他国を圧倒していたが、問題は「中身」と「レトリック」であって、その点では、見劣りした)が、会議に参加している国際NGO団体から『化石賞』(註:救いがたい頭の古さ、偏狭さ)という不名誉な賞を頂いたことからも明らかである。もちろん、NGOと言っても、皆、「善意の塊」と思うほどナイーブではない。世界の各国や大企業も、自らの行動をポジティブに評価してくれ、また、競争相手国(企業)を誹謗中傷してくれるNGOの育成に躍起であり、事実、「偉らそうなこと」を言いながら、裏で多額の補助金を受け取っているNGOも多数存在することは、残念ながら事実である。



各NGOが工夫を凝らしたブースを
用意して自分たちの主張を展開

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