奈良でWCRP40周年世界宗教者まほろば大会

 9/25〜27

  2010年9月25日から27日まで、奈良県新公会堂、奈良県文化会館、東大寺大仏殿等で、WCRP(世界宗教者平和会議)創設40周年「世界宗教者まほろば大会」が開催され、海外からの参加者約20名を含めて、のべ千人が参加して盛大に開催された。

 「世界宗教者まほろば大会」に先立つ25日、奈良県文化会館国際会館において『アジアにおけるまほろば実現に向けて』と題する公開講演が行われた。最初に、WCRP日本委員会評議員の大野玄妙聖徳宗管長・法隆寺住職が開催の挨拶を行い、地元奈良県の荒井正吾知事(平城京遷都1300年記念事業協会理事長)が歓迎の挨拶を行った後、イスラームの最高学府であるアズハル大学(エジプト)のムハンマド・A・アル=コースィー前副学長と、元ニカラグア共和国外務大臣で第63回国連総会議長のミゲル・D・ブロックマン司祭が基調講演を行い、WCRP創設40周年まほろば大会開催日本委員会監事の加藤隆久生田神社宮司がまとめと閉会の挨拶を行った。


イランのイスラーム文化・通信における宗教間対話センター長と
意見交換する三宅善信代表

 続いて、会場を東大寺大仏殿前広場に移し、約千人の聴衆を集めて『ARMS DOWN! 青年宗教者からの発信キャンペーン終了式典』が行われた。「ARMS DOWN!」は、世界百数十カ国の首脳が一堂に会して2000年に開催された国連ミレニアムサミットの際、2015年までに、世界中で貧困・開発・教育・衛生等の問題を改善するための数値目標である「MDG’s(ミレニアム開発目標)」の実現のために、世界各国の軍事費を10%削減してこれに充てようという世界的キャンペーンで、日本においては、WCRP日本委員会青年部会の主導によって昨年12月3日にスタートして全国各地で署名集めを行い、終了日のこの日までに1,099万人以上の署名を集めたことが報告された。雲ひとつない秋晴れの中行われた式典では、最初に、WCRP日本委員会理事長の庭野日鑛立正佼成会会長と、会場を提供した北河原公敬華厳宗管長・東大寺別当が、自分自身も本プログラムの主旨に賛同して、東大寺の参道で一般参詣客から署名を集めた話などを込めて挨拶した。


東大寺大仏殿で開催されたWCRPのイベントでスピーチする
岡田克也民主党幹事長

  さらに、実行委員長である中山身語正宗八坂憧憲青年本部長が報告を行ったが、中でも、注目を集めたのは、本署名を受け取るために、先日まで日本政府の外務大臣であった岡田克也民主党幹事長が長時間にわたり会場に滞在し、「軍縮」と「MDG’s」の実現に対する自身の意見を述べたことである。因みに、この日の翌日、菅直人首相は、池田大作創価学会名誉会長が創設した東京富士美術館(東京都八王子市)で『ポーランドの至宝展』を鑑賞したことが話題になったが、岡田幹事長は、新宗連加盟の教団が多数参加しているWCRPのイベントに出席することでバランスを取った見られる。

 翌26日は、奈良県新公会堂能楽ホールで『世界宗教者まほろば大会』の開会式が開催され、WCRP日本委員会常務理事の安田暎胤薬師寺長老が挨拶を行い、日本宗教連盟理事長やWCC(世界教会協議会)総幹事の代理らが挨拶を行なった。続いて、9月20日から22日にかけて京都で開催された『イスラーム指導者会議〜正しいイスラームの理解のために〜』と、前日まで行われていた『ARMS DOWN!キャンペーン』の報告がなされた。


新公会堂の能楽堂で開催された全体会議で発言する三宅善信代表

 休憩を挟んで、『まほろばの心と宗教者の貢献』と題して、松岡正剛編集工学研究所長が基調講演を行い、WCRP日本委員会理事の植松誠日本聖公会首座主教と、WCRP国際委員会副実務議長のビヌ・アラムシャンティアシュラム代表がそれぞれモデレータになって、二会場に分かれて分科会が行われ、「一般参加者」の一人として仲川げん奈良市長がフロアから質問するなど、ディスカッションは大いに盛り上がった。最後に全体集会が行われて、翌日採択される予定の宣言文に対する質疑応答等がなされ、「ヒロシマ・ナガサキの原爆投下日を、国連の世界平和の日にしよう」という日本人参加者からの提案に対して、「少なくとも、『日本人が原爆落とされて可哀想』と思っている中国人や韓国人は居ない。日本の植民地侵略に対する当然の報いである」と、激しく日本を批判する韓国の国会議員(元安全保障委員長)のキム・サンゴンACRP(アジア宗教者平和会議)事務局長が発言したが、このディスカッションに参加していた三宅善信代表は、「そもそも、宗教者が“平和の価値”を論じようという話をしている席で、『交戦権や死刑執行権』という“殺人”を、当該政府が有する当然の権利としている“主権国家”の存在を無条件で肯定していること事態が問題である。世界には、『イスラーム諸国』や『カトリック諸国』といった“国民国家”の枠を超えた宗教共同体が現実に存在するのであるから、宗教者は“国益”を至上価値とする自国の政府の代弁者であるべきではない」と断言し、会場の喝采を集めた。三宅師のこの発言は、同時に、今回「まほろば大会」関連行事としての『日中朝韓四カ国青年宗教者会議』に公式招待されていたのにもかかわらず、直前に、政府当局の指示によって参加をどたキャンした中国や北朝鮮の宗教代表者が「宗教者の仮面を被った中国共産党や朝鮮労働党の工作員」であり、「彼らを対等な対話の相手として認めるべきではない」との批判をも言外に含むものである。


元海上保安庁長官でもある荒井正吾奈良県知事(中央)と
「尖閣事件」について意見交換する三宅善信代表。左端は花山院弘匡春日大社宮司

 この日の夜は、新公会堂レセプションホールにて、歓迎レセプションが開催され、最初に春日大社の万葉雅楽会が高麗楽の『納曽利』を上演した。その後、主催者を代表してWCRP日本委員会常務理事の三宅光雄金光教泉尾教会長が、地元を代表して荒井正吾奈良県知事が歓迎挨拶を行い、鏡割りの後、花山院弘匡春日大社宮司の発声で乾杯となり、海外代表を交えて歓談が大いに盛り上がった。最後に、WCRP日本委員会評議員の杉谷義純天台宗宗機顧問が閉会の挨拶行った。27日は、奈良県新公会堂能楽ホールにて、宣言文の採択と閉会式が行われた。

 



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