IARF国際評議員会 京都で開催

3/28〜30

  東日本大震災と福島原発事故など危機的状況が日本社会を襲う中、来日したIARF(国際自由宗教連盟)の国際評議員一行は、3月28日、加盟教団である和宗総本山四天王寺を訪問し、奥田聖應和管長の歓迎を受けた。東京大学卒業後ドイツで博士号を取得した奥田管長は、6世紀末に創建されたわが国最初の仏教寺院である四天王寺が、単なる寺院としてだけではなく、教育・医療・社会福祉を総合的に行う施設として造られた歴史を外国人にも解りやすく解説した。その後、一行は京都山科の一燈園を訪問し、IARF国際評議員でもある一燈園の西田多戈止当番と懇談し、一部のメンバーはそのまま執行理事会に参加した。


四天王寺「極楽浄土の庭」で奥田聖應管長と記念撮影するIARF国際評議員一行

  29日は、洛北宝ヶ池にあるむつみ会教団本部施設において、今年度のIARF国際評議員会が開催された。最初に、二万余名の死者・行方不明者という未曾有の大災害となったこのたびの東日本大震災の犠牲者の冥福を全員で祈った。評議員会の議事進行役は、昨秋、ダライ・ラマ14世法王を基調講演者に招いてインドで開催された第33回世界大会の折に会長に選出された三宅光雄金光教泉尾教会長が務めた。国際事務局からの世界大会の報告やJ・ティーゲル財務委員長からの会計報告等が行われた。


一燈園で行われた執行理事会

  午後からは、数年来、オランダ政府のODAや欧米各国の財団からの財的支援を受けてインド各地において実施されてきた「人権教育プログラム(HRE)」の報告と計画が行われた。ただし、国際事務局が英国オックスフォードから大阪に移転して以来、IARFでは、世界各地で実施される各プログラムの計画や実施状況の視察や効果測定をより公平かつ効率的に行うための「標準報告様式(SRF)」の確立に取り組んでおり、この問題について、国際機関が多数存在するジュネーブ在住の評議員や、新しいプログラムの実施を予定しているイスラエルの評議員たちから、インドでのHREプログラム実施状況報告の曖昧さに対して、厳しい質問が寄せられた。

  30日は、最初に、英国で公益法人として登記されているIARFが依って立つ「英国チャリティ法」が2007年に改訂されたことに伴う決議事項を行うため「総会」(委任状での参加が可能)の開会(通常は、4年に1度開催される世界大会の期間中にのみ開催)が三宅光雄会長によって宣言され、定足数を満たしていたので、法律上処理しなければならない必要最小限のことのみを採択し、ただちに閉会された。


むつみ会本部で開催されたIARF国際評議員会

  その後直ぐに国際評議員会の再開が宣言されたが、十数人という大人数で構成され、年に一度しか開催されない国際評議員会で何事も話し合われるのは効率的ではないということで、テーマ毎に数名の委員によって構成される各委員会の設置について話し合われ、コミュニケーション・広報渉外・規約・財務投資・将来検討・プログラム開発の六つの委員会が構成されることになり、評議員以外にも、外部から適切な人材を招いて構成される各委員会の人選が行われた。

  午後からは、ティーゲル財務委員長からIARF基金の英国における運用につて、また、財務・投資委員を務める三宅善信師から、同基金の日本の債券市場における運用について報告された。また、国連経済社会理事会の総合諮問資格を有する数少ない国際NGOであるIARFのユニークさと、そのステータスをより有効に活用するための方途が話し合われた。各委員会の委員長と委員の人選が発表された後、2011年度の予算を承認して、その他の手続きを経て今回の国際評議員会は閉会した。



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