被災地大船渡で国際シンポ『災害と郷土芸能』

2/25〜26

  2012年2月25・26両日、東日本大震災の被災地のひとつ岩手県大船渡市のリアスホールを会場に、国際シンポジウム『災害と郷土芸能』が開催され、二日間で約500名が参加した。

大船渡市の熊野神社に伝わる「門中組虎舞」
大船渡市の熊野神社に伝わる「門中組虎舞」

  初日は、『ケセン鎮魂のための地域伝統芸能大会』が、ケセンきらめき大学と神道国際学会が共催(後援:大船渡市)して開催され、この度の大津波で衣装や道具類等に大きな被害を受けた大船渡市・陸前高田市・住田町に伝承されてきた七つの郷土芸能が上演された。

  最初に、自らも東北(秋田県)の出身で本企画に賛同を示してくださった元国連事務次長の明石康(財)国際文化会館理事長と戸田公明大船渡市長が来賓を代表して、また、鈴木迪雄ケセンきらめき大学アドバイザーが主催者を代表して挨拶を行った。

大船渡市に伝わる「小通鹿踊り」
大船渡市に伝わる「小通鹿踊り」

  続いて、国立歴史民俗博物館の小島美子名誉教授が「解説」を行い、「生出神楽」、「門中組虎舞」、「赤澤鎧剣舞」、「行山流外館鹿踊り」、「浦浜念仏剣舞」、「金成百姓踊り」、「小通鹿踊り」などの当地に伝わる郷土芸能が次々と上演され、被災地の観客たちから大喝采を浴びた。

  この日の伝統芸の大会は、平山徹大船渡市郷土芸能教会副会長の挨拶でお開きとなり、会場を大船渡プラザホテルに移して、郷土芸能出演者の慰労会が行われた。慰労会では、神道国際学会会長の薗田稔秩父神社宮司からこの地域の伝統郷土芸能を支援するための寄付金が贈呈され、ケセンきらめき大学の田村満学長による乾杯で開演。時間の関係や被災によるダメージで、この日上演しきれなかったいくつかの郷土芸能が映像で紹介された。

慰労会で挨拶をする薗田稔神道国際学会会長
慰労会で挨拶をする薗田稔神道国際学会会長

  なお、この日の夜は、同ホテルにて、神道国際学会の理事会が開催され、また、翌26日の午前中は、リアスホールにて特定非営利法人「神道国際学会」の年次社員総会が開催され、平成23年度の決算および平成25年度の事業計画と予算が原案通り可決された。

カリフォルニア大学のファビオ・ランベッリ教授の提案に耳を傾ける神道国際学会の理事諸氏
カリフォルニア大学のファビオ・ランベッリ教授の
提案に耳を傾ける神道国際学会の理事諸氏

  午後からは、リアスホールにおいて神道国際学会主催の国際シンポジウム『災害と郷土芸能』が、三宅善信常任理事の総合司会のもとに開催され、明石康氏、薗田稔氏、田村満氏の挨拶に続いて、『地域と郷土芸能』と題して平山徹氏が、『地球的視野における自然災害』と題して米国防総省主任研究員を務めたロナルド・モース博士が、『災害と宗教・文化』と題して赤坂憲雄福島県立博物館長の三氏が基調講演を行った。

  休憩を挟んで、「神楽」の研究で有名な同学会の常任理事茂木栄國學院大学准教授がモデレータとなって、先の三人に加えて、コンゴ民主共和国出身で同学会の理事のムケンゲシャイ・マタタ・オリエンス宗教研究所長と薗田稔、小島美子の三氏が加わってパネルディスカッションが行われ、大いに議論が盛り上がった。

国際シンポジウム『災害と郷土芸能』で閉会の挨拶を行う三宅善信常任理事
国際シンポジウム『災害と郷土芸能』で
閉会の挨拶を行う三宅善信常任理事

  最後に、同学会の理事マイケル・パイ元世界宗教学・宗教史学会会長が、二日間にわたるイベントの総括を行い、三宅善信氏が主催者代表して閉会の挨拶を行った。



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