オランダでIARF欧州中東会議

7/19〜22

  2012年7月19日から23日まで、オランダ東部のエルスペート村にあるメンノローデ会議場において、IARF(国際自由宗教連盟)の2012EME(欧州中東地域)会議が開催され、『リベラルな宗教は、このまま停滞するのか、何らかの役割を演じるのか、さらなる前進があるか』をテーマに、欧州ならびに中東の12カ国・地域から70名が参加して開催された。EME会議は、4年に1度開催されるIARFの世界会議の中間年に開催され、世界大会によって構築された新体制が順調に機能しているか、機能していなければどのような点で改善すべきかを、提言してきた。

開会式でスピーチを行う三宅善信代表
開会式でスピーチを行う三宅善信代表

  19日の夕方の開会式では、EME議長のウィツケ・ダイクストラ女史が開会宣言を行い、地元オランダの宗教界を代表してアト・イペンバーグ師が歓迎の挨拶を行った。続いて、ほぼ同時期にカナダで開催されたWFM(世界連邦運動)の第26回世界大会に「同評議員会(意思決定機関)の副議長」として出席するため、今回のEME会議に参加できなかった三宅光雄IARF会長の名代としてこの会議に参加した三宅善信レルネット代表が挨拶を行った。

EME2012に出席したIARFメンバーの面々
EME2012に出席したIARFメンバーの面々

  三宅善信代表は、「最初に、昨年3月の東日本大震災に際して欧州各国から寄せられた祈りと義捐金に対して、すべての日本人を代表して謝意を表すと共に、それらの義捐金が会長によって被災地の届けられた」と報告すると共に、「福島原発の事故による困難が日本社会に多大な忍耐とともに大きなチャレンジをもたらせている。同様に、いかなるNGOにとっても、その目的を実現させるためには資金と人々の協力を集めることが欠かせないが、それが『できない』という人は正直ではない。その人は単に、自己犠牲を『払いたくない』あるいは、そういう努力を『したくない』という思いをごまかすために、いろいろな理由をつけて『できない』と言い訳しているだけである。4日間のEME会議を通じて、われわれは喜んで自己犠牲を払いつつ、自ら進んで何をなすべきかということを探って行こう!」と檄を飛ばした。三宅代表の挨拶に続いて、オランダで有名なアーティストのK・ポステンムス氏が宗教的リベラリズムを主題にした「独白劇」を熱演した。

期間中、断続的に開催された役員会
期間中、断続的に開催された役員会

  20日は、バルカン半島の小国アルバニアから新たにIARF に加盟したベクタシ教団(註:イスラム教神秘主義スーフィズムの世界本部)のA・スレイマニ事務局長が導師になってベクタシ教団の歴史を紹介すると共に祈りを分かち合った。続いて、ライデン大学の社会学者のM・テーボルグ名誉教授が、経済学者ドラッカーの組織論等を引き合いに出して『リベラル精神と地球の将来』という野心的なテーマの基調講演を行った。続いて、国際事務局員のR・パピーニ氏から一昨年9月にインドで開催された第33回世界大会以後の進捗について報告され、その間に北アフリカや中東地域を大きく変えたSNSによる社会変革の機会を捉えて、IARFでもウェブサイトをはじめSNSを最大限利用して活動を広めてゆく旨の報告がなされた。午後には、ユネスコの「世界遺産」にも指定されたオランダの干拓の歴史を学ぶショックランドへ社会見学に行った。夜には、国際役員や事務局や地域代表の間で、数多くの非公式会合が行われた。

世界諸宗教の祈りの時間に急遽指名されて、英語で祝詞と説教をする三宅善信代表
世界諸宗教の祈りの時間に急遽指名されて、
英語で祝詞と説教をする三宅善信代表

  21日は、朝からルーマニアのハンガリー系ユニテリアンの一同による祈りが行われ、続いて、オランダ経団連のCSR(企業の社会的責任)問題名誉顧問のB・フェンデル=ロエフ氏を講師に、『オランダのビジネスシーンにおける企業倫理の問題』と題する講演と質疑が行われた。さらに、「EMEの現状と課題」、「中東における出会いプログラム」、「欧州議会とIARFの関係」、「国連経済社会理事会の一員としてのIARF」等、多くのテーマについて分科会が催された。夕方にはEMEの意思決定機関である「総会」が開催され、人事等が承認された。夕食後には、「文化イベント」が行われ、夜の更けるのも忘れて交流を深め合った。   22日は、朝からS・アロンIARF副会長のリードで「諸宗教の祈り」が行われ、その場で指名された数人がお祈りと短い説教を行った。三宅代表も祝詞と説教を英語で行った。その後、好天に恵まれたので、野外ホールに会場を移して閉会セレモニーが行われた。次回のEME会議は2016年に英国で開催される予定。

野外ホールで行われた閉会セレモニー
野外ホールで行われた閉会セレモニー

  なお、今回のEME会議に引き続き、4月に大阪で開催されたIARF国際評議員会で設置が決議された二つの活動部会の内のひとつ「平和活動部会」の初めての会合が、引き続き翌23日まで行われ、英国のR・ボーキ博士が本部会の共同議長に就任されると共に、三宅善信代表はこの会合の委員に選出された。

EME会議に続いて開催された平和活動部会の様子
EME会議に続いて開催された平和活動部会の様子



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