勅祭石清水祭に列席

2015年9月15日


2015年9月15日未明、平安時代の貞観年間より連綿と伝わる「石清水祭」が斎行された。石清水祭は、賀茂祭・春日祭と共に、勅使が天皇陛下からの奉幣(お供え物)を供奉して参拝する「三大勅祭」のひとつである。一年に一回、ご神体が真夜中に男山山上の本殿を御鳳輦(=御神輿)に乗って出立し、里の「頓宮(神が一時的に滞在する場所)」に下りてこられて、一日滞在し、生きとし生けるものへの大いなる恵みを施し(その間に「放生会」が行われる)、また、次の日の夜に山へ還られる足かけ三日がかりの神事である。三宅善信代表は、四年連続でこの由緒ある祭事に来賓として招待されている。

漆黒の闇の中、古式ゆかしく篝火の明かりだけを頼りに石清水祭の遷御が斎行される
漆黒の闇の中、古式ゆかしく篝火の明かりだけを頼りに
石清水祭の遷御が斎行される

伊勢の神宮の式年遷宮と同じように、日本の伝統では、神々は漆黒の夜中に移動される。石清水八幡宮の神職たちが神前に神仏習合様式の残る神饌物を進めた後、田中恆清宮司が頓宮殿前で祝詞を奏上する。その後、勅使たる上卿が束帯から「裾(きょ)」と呼ばれる一丈二尺(約4.6m)もの長さがある「尻尾」を引きずって参進し頓宮殿に向かう。王朝時代、上卿は三位以上の公卿(大納言クラス)が務めたが、現在は、宮内庁の掌典職が務める慣行になっている。今年の勅使は、特に姿勢が美しいことで知られる菅原道真55代の後胤唐橋在倫掌典であった。

天皇陛下からの奉幣が神職たちよって大前に供奉される
天皇陛下からの奉幣が神職たちよって大前に供奉される

勅使たる上卿の見守る中、内蔵寮の史生が持参した奉幣を宮司以下の神職が神前に供え、上卿が神前に「御祭文(祝詞に相当)」を奏上する。天皇陛下から石清水八幡宮に寄せられる祭文は、「鳥子紙」という特別な黄色い紙に記されることになっている。その御祭文を宮司が上卿から受け取り大前まで進めて、宮司と上卿の間で「御祭文は確かに神前に供えられました」ということを確認する「返祝詞」と呼ばれる特殊な打ち混ぜ拍手が行われる。

勅使たる上卿が束帯から長い裾を引きずって、頓宮殿から退下される
勅使たる上卿が束帯から長い裾を引きずって、頓宮殿から退下される

上卿による御祭文の奏上に続いて、馬や雅楽が奉納される。頓宮での祭事に引き続いて、摂社のひとつで、石清水八幡宮が男山に鎮座するより以前からこの地に坐した産土神の「高良神社」に、宮司以下の神職が朝御饌(朝食)を供えに行き、続いて、境内の脇を流れる放生川で魚を放流する放生会が行われる。




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