第2バチカン公会議50周年

2015年10月26日〜28日


2015年10月26日〜28日、ローマのグレゴリアン大学で第2バチカン公会議50周年記念シンポジウム『ノストラ・エターテ』が開催され、世界中から約300名の諸宗教対話関係者が参加した。また、28日には、参加者らがフランシスコ教皇に謁見した。

「第2バチカン公会議」とは、現代におけるローマ・カトリック教会のあり方を探るため、1962年10月11日に教皇ヨハネス23世の下に招集され、世界各国から2,500名以上の司教や修道会の総長らが五大陸86カ国から集い、期間中に教皇がパウロ6世に代替わりするなどの曲折を経て、1965年12月7日に閉幕するまで4年間の長きにわたって、4期に分けて様々な問題について検討を重ねて、1900年間に及ぶカトリック教会史上の大きなエポックメイキングな出来事であった。これ以後、従来はごく少数の神学者しか理解することのできないラテン語で行われていた世界各地の教会での典礼(礼拝様式)を、その国の国語で行うことが許可されるなど、「アジョルナメント(現代社会への適応)」が推進されることとなった。この最終日に、1054年以来、ローマ帝国の東西分裂の影響で900年以上の長きにわたって、相互に破門し合っていた東方正教会との間で、破門を解き合った。

グレゴリアン大学で開催された第2バチカン公会議50周年シンポジウムの様子
グレゴリアン大学で開催された
第2バチカン公会議50周年シンポジウムの様子

中でも、1965年10月28日に採択された決議『ノストラ・エターテ』は、1900年間にわたってカトリック教会が主張してきた「カトリック教会だけが唯一の正しい宗教である」という立場を180度転換して、東方正教会やプロテスタント諸教派との間で、同じキリスト教徒としての一致点を探る「エキュメニカル」運動を推進するだけでなく、原理的には「同じ唯一神」を戴いているユダヤ教徒やイスラム教徒にも、対話のドアを開いた。この動きはさらに、「別の神」を戴いているヒンズー教や仏教その他の世界の諸宗教とも「真理の一部が共有されている」として、その後の世界中の諸宗教対話の動きに計り知れない影響を与えた。

第2バチカン公会議50周年シンポジウムの参加者席
第2バチカン公会議50周年シンポジウムの参加者席

この50周年記念シンポジウムが10月26から28日までの日程で、ローマ市内にある教皇庁立グレゴリアン大学で開催され、世界各国から約300名の宗教者が一堂に会した。26日の夕方に行われた開会式では、グレゴリアン大学のフランソワ・ハビエル・ドゥモルティア総長からの歓迎の辞と、キリスト教一致評議会議長のクルト・コッホ枢機卿と諸宗教対話評議会議長のジャンルイ・トゥーラン枢機卿から祝辞が述べた。また、参加者代表の一人として、庭野光祥立正佼成会次代会長が流暢なイタリア語で挨拶を行った。

普遍的平和同盟のトーマス・ウォルシュ会長とスリ・ジャヤワルダナプラ大学のB・ウィマララタナ学長と三宅善信代表
普遍的平和同盟のトーマス・ウォルシュ会長と
スリ・ジャヤワルダナプラ大学のB・ウィマララタナ学長と三宅善信代表

27日は、まず『諸宗教対話』というテーマで二人の専門家の基調講演が行われ、次に、『暴力と平和のための宗教の関わり』というテーマで、イタリアイスラム中央協議会のアブドラ・レドゥアンヌ事務総長と米国ユダヤ教会のデビッド・ローゼン対話局長がパネリストしてぞれぞれの見解を発表した後、フロアを交えて討論が行われた。続いて、同じテーマで、聖エジディオ共同体のアルベルト・クワトルッチ事務局長とスリランカのジャヤワラデネ大学総長のB・ウィマララタナ大僧正がパネリストを務めた。この際、日本人では唯一、三宅善信代表がフロアから質問を行った。昼食休憩に続いて、午後も同様の形式で『信教の自由の挑戦』というテーマでディスカッションが繰り広げられた。

第2バチカン公会議50周年シンポの参加者全員がサン・ピエトロ聖堂前でのフランシスコ教皇との謁見に招待された
第2バチカン公会議50周年シンポの参加者全員が
サン・ピエトロ聖堂前でのフランシスコ教皇との謁見に招待された

『ノストラ・エターテ』採択50周年当日に当たる28日は、あいにく朝からの雨天であったが、フランシスコ教皇の「人気」は凄まじく、全世界から3万人近い巡礼団が、サン・ピエトロ広場とパウロ6世記念謁見ホールを埋め尽くした。この日の祈りは『ノストラ・エターテ』に関するもの一色であったが、約1時間に及ぶ(雨中の待ち時間を含むと3時間)礼拝の終了後、今回のシンポジウムの参加者を代表して、世界各国からの宗教指導者と共に、日本からは出口紅大本教主、宮本恵司妙智会法嗣、庭野光祥立正佼成会次代会長、山口英雄天理教大ローマ布教所長、宝積玄承京都国際禅堂代表、三宅光雄金光教泉尾教会長の6名がフランシスコ教皇と言葉を交わした。この後、夕方にもう一度、グレゴリアン大学に戻って、最終セッションが行われ、バチカンの国務長官であるピエトロ・パロリン枢機卿の挨拶で全日程を終えた。




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