日本臨床宗教師会設立シンポ

2016年2月28日

2016年2月28日、龍谷大学大宮学舎清和館において、日本臨床宗教師会設立記念シンポジウムが『臨床宗教教育の可能性』をテーマに開催され、大学関係者・各宗派教団関係者らが、定員を遙かに超えて立ち見席まで出る盛況で約300人が参集した。社会的な関心も高く、この日の様子は、在阪の各テレビ局も報じた。

宗教界を代表して挨拶する森清範清水寺貫主
宗教界を代表して挨拶する森清範清水寺貫主

2011年3月に発生した東日本大震災は、約2万人という死者・行方不明者を出す未曾有の大災害となったが、犠牲者の慰霊や遺族の人々のグリーフケア(喪失感からの立ち直りの世話)が大きな社会問題となり、「建前」として、戦後一貫して進められてきた行政執行の分野における政教分離や公教育の場面からの宗教の排除という原則が、虚しいものであったということが白日の下に曝され、国立大学である東北大学の大学院文学研究科に実践宗教学寄附講座が開設され、「臨床宗教師」なる資格が養成されるようになったことを受け、いくつかの「宗門大学」がつぎつぎと「臨床宗教師」を養成する講座を開設するようになった。

日本臨床宗教師会設立記念シンポジウムに参加する三宅善信
日本臨床宗教師会設立記念シンポジウムに参加する三宅善信

このような事態を受けて、「日本臨床宗教師会」が設立されることになり、この日の記念シンポジウム開催となった。宗教界を代表して、森清範清水寺貫主が祝辞を述べ、上智大学グリーフケアセンターの高木慶子特任所長が『臨床宗教師が日本で根づく教育』と題する基調講演を行い、「臨床宗教師」養成講座を開設した愛知学院大学・高野山大学・種智院大学・上智大学・鶴見大学・東北大学・武蔵野大学・龍谷大学(五十音順)の各大学の担当者から、それぞれの取り組みが報告された。

鈴木岩弓東北大学大学院教授による設立経緯の説明
鈴木岩弓東北大学大学院教授による設立経緯の説明

続いて、設立総会が行われ、「日本臨床宗教師会」の初代会長に島薗進上智大学グリーフケアセンター所長(東京大学名誉教授)を選任した。また、この会の設立の経緯について、端緒となった東北大学の実践宗教学寄附講座の主任教授を務めた鈴木岩弓東北大学大学院教授が説明した。最後に、今後の活動方針等について谷山洋三事務局長から報告がなされて総会が終了し、近隣の京都東急ホテルで懇親会が催された。なお、東北大学の実践宗教学寄附講座の開設・維持に多大な貢献をしたレルネットの三宅善信代表も参加した。




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