北京で諸宗教フォーラム

2016年8月31日〜9月1日

中国・浙江省杭州市で開催される各国首脳によるG20サミットに先駆けて、2016年8月31日から9月1日まで、北京市内のホテルにおいて、中国社会科学院世界宗教研究所と中国宗教学会共催、米国ブリガムヤング大学後援の国際フォーラム『諸文明間の対話と全人類のための運命共同体』が開催され、約百名の専門家が出席した。

諸宗教フォーラム参加者による記念撮影
諸宗教フォーラム参加者による記念撮影

8月31日朝、中国と海外からの参加者の紹介に続き、卓新平中国社会科学院世界宗教研究所長とコール・デュルハム米国ブリガムヤング大学教授が、主催者を代表して歓迎の挨拶を行った。記念撮影の後、卓新平所長が『人類運命共同体と宗教的価値』と題して、キャサリン・マーシャル米国ジョージタウン大学上級研究員が『異文化間・諸宗教間の関わり合い:人間の安全と開発を強化することへの道程』と題して、?筱?中国社会科学院世界宗教研究所副所長が『インターネット宗教と人間の運命共同体』と題して、ニュージーランドのウエリントン大学のポール・モリス教授が『文明対話における宗教の役割とは何か』と題して、それぞれが基調講演を行った。全体会合の討論セッションにおいては、日本から唯一招待された三宅善信神道国際学会理事長による核心を突いたコメントで実質的な討議の幕を開けた。

全体討議で核心を突いたコメントをする三宅善信代表
全体討議で核心を突いたコメントをする三宅善信代表

昼食後は、「宗教と諸文明間の対話」と「宗教と全人類ための運命共同体」という二つのサブセッションが同時進行で始まり、それぞれ数名の発表者が順次発表を行い、参加者からの質疑に応答するという形式で夕方までそれぞれの発表を行った。午後の最初のセッションでは、長年諸宗教対話の世界に身を置いてきた三宅善信師のプレゼンから始まり、2006年にケルン(独)で開催されたG8宗教指導者サミット以来、大阪・京都、ローマ(伊)、ウイニペグ(加)、ボルドー(仏)、ワシントンDC(米)それから、ロシアのG8離脱により、G20に拡大した昨年のイスタンブール(トルコ)での諸宗教サミットと、同師が中心的に運営にかかわってきたこの会議の伝統を踏まえた上で、今日の世界が抱える問題について示唆に富んだプレゼンであった。

分団討議でプレゼンテーションを行う三宅善信代表
分団討議でプレゼンテーションを行う三宅善信代表

9月1日は、朝8時半から、「G20諸宗教グループ」と「インターネット宗教と地球統治」というテーマでサブセッションを行い、前日同様それぞれが発表と討論を行った。午後からは、それぞれのサブセッションからの報告が行われ、全体討議が行われた。中でも、北京師範大学のとある教授から「インターネットへの自由なアクセスが制限されている中国の現状こそが問題である」という中国共産党独裁政権にとって「都合の悪い事実」も指摘され、それなりのインパクトがあった。

歓迎夕食会で挨拶するコール・デュルハム米国ブリガムヤング大学教授
歓迎夕食会で挨拶するコール・デュルハム米国ブリガムヤング大学教授

最後に、二日間の討議の総括と主宰者による謝辞をもって閉会となった。今回のG20諸宗教サミットは、思想や信教の自由が政治的に保障されない独裁国家における開催であったので、いろいろと困難があったが、次回のG20諸宗教サミットは来年、G8時代から一巡して、ドイツで開催される予定である。




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