■ 宗教界の動き ■


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6月前半の宗教界の動き (0006F)
国際交流の動きがたくさん見られました。海外では、保守化の傾向が強まりました。

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☆総選挙で推薦状発行せず
財団法人全日本仏教会(通称:全日仏、北條成之理事長)は、今回の衆議院総選挙で推薦状の発行を見送ることを決めた。自公保に枠組みを代えたとはいえ、政教分離問題を内包する公明党が政権入りしていることに変わりなく、全日仏の異例の「推薦状発行せず」に到った。各加盟団体が推薦状を発行するか、しないかは、各団体の判断に任されることになる。


☆役行者1300年大遠忌に5万人の参拝者
金峯山修験本宗、総本山金峯山寺(五條順教管長)では、5月11日から6月7日まで「役行者1300年大遠忌法要」が厳修され、約5万人の参拝者で賑わった。


☆森首相へ要請文
6月1日、今秋、発足30年を迎える真宗教団連合(理事長=木越樹真宗大谷派宗務総長)は、森喜朗首相の「神の国」発言の撤回を求める要請文を同首相にあてた。


☆叡山講福聚教会創立50周年記念大会
6月1日、天台宗総本山延暦寺の叡山講福聚教会は、阪神・淡路大震災で延期されていた創立50周年記念大会を神戸で開催した。詠歌と踊りで宗祖伝教大師の教えを伝える会で、今年は人間国宝・中村鴈治郎氏主演の創作歌舞伎『最澄』を上演すると共に、震災犠牲者を追悼した。


☆IARFとUUAの会長、椿大神社で禊を体験
6月1日、来日中のIARF(国際自由宗教連盟:本部オックスフォード)会長E・ヘルワイネン氏と同事務総長A・クラーク氏、UUA(ユニテリアン・ユニバーサリスト協会)のJ・ビューレンズ会長、同国際関係部長が三重県鈴鹿市の椿大神社を表敬訪問し、禊(みそぎ)を体験した。


☆ハノーバー万博国際フォーラム
6月1日から、ドイツ北部の都市ハノーバーで、ミレニアムと東西ドイツ統一10周年を記念する万国博覧会「EXPO2000」が開幕した。万博の行事の一環として、行われた「国際フォーラム2000」は、毎年夏、大阪市で宗教宗派を越えた「国際永久平和祈念祭典」を開催している同祭典協議会(理事長=小林隆彰・前比叡山延暦寺執行)と、ドイツの市民共同体アクション・ゲマインジン(クリストフ・シュバイツァー会長)の両組織代表が理事長となりフォーラムを組織。500名以上が会場を埋めた。


☆東京本願寺で法統慶讃会厳修
6月1・2日、浄土真宗東本願寺派本山東京本願寺(大谷光見法主)で、法統慶讃会が厳修された。昨年暮れの大谷光紹法主の逝去に伴い、法統を継承した光見法主が本山の公式仏事で初めて、「御親教」を披露した。


☆摩耶ケーブル復旧安全祈願式
6月2日、阪神淡路大震災で駅舎等が崩壊し、運休していた摩耶ケーブル・摩耶ロープウェイの再建が決まり、来年3月の営業開始を目指して、復旧工事の安全祈願式が行われた。


☆「信長まつり」開催
6月3・4日、法華宗本門流大本山本能寺(赤田日崇貫首)で第18回目となる「信長まつり」が開催され、第25回「本能寺文化芸術展」もあわせて開催された。


☆「鎮守の杜フェスタV」開催
6月4日、京都府神社庁(室田襄庁長)の主催による「鎮守の杜フェスタV」が賀茂御祖神社(通称下鴨神社:鳥居清三郎宮司)の「糺(ただす)の森」で開催され、500人ほどの参加者は同神社境内一帯を会場に、ゲームなどを通じて杜の自然を体感すると共にその役割を学んだ。


☆故濱口会長の「霊友会葬」営む
6月4日、去る5月13日に逝去した、濱口八重霊友会「第3代」会長(註:霊友会は現在、久保派と増永派に分かれて法廷係争中であり、この度、逝去した濱口八重氏は増永派の擁立した第3代会長であった)の「霊友会葬」(葬儀委員長=増永忠最高顧問)が東京・麻布台の本部釈迦殿で執り行なわれ、各界からの弔問者や全国各地の会員代表など、1万5千人が参列した。霊友会「第4代」会長に就任したばかりの大形市太郎会長をはじめ、石原慎太郎東京都知事、花田勝治元日本相撲協会理事長等が弔辞を述べ、故人の冥福を祈った。


☆「日本・フランス2000年音楽祭」に出演
6月6日、「日本・フランス2000年音楽祭」に出演した真言宗各派連合真和会(高瀬覚照会長)はパリの聖ウスターシュ教会でグレゴリオ聖歌と共演。堂内は約800人の聴衆で満席となった。


☆浄土宗寺庭婦人会 近畿地区研修会開催
6月6・7日、浄土宗近畿地方教化センターならびに浄土宗大阪教区寺庭婦人会の主催により、約600人が参加して「第31回浄土宗寺庭婦人会近畿地区研修会」が開催された。


☆森首相の「神の国」発言
6月9日、神社本庁で、神道政治連盟(略称:神政連、宮崎義敬会長)中央委員会が開かれた。宮崎会長は森首相の「神の国」発言を一部メディアや野党が悪利用していることに遺憾の意を表した。


☆日中修行僧が交換留学
6月9日から18日まで、日中の修行僧が互いの修行生活を体験する日中交換交流が実施された。一昨年から始められたこの交流は、中国側は中国仏教協会、日本側は日中韓国際仏教交流協議会(小林隆彰理事長)が窓口となっている。


☆金光教 教団独立100年祭催す
6月10・11日の両日、金光教(森定斎教務総長)の教団本部で、金光平輝教主が祭主をつとめ、「教団独立百年記念祭」が執り行なわれた。全国から約3万人を超える参拝者があった。幕末の安政6(1859)年に、教祖金光大神によって立教した同教団は、明治維新後は、神道国教化政策のもとで、神道本局の管理下に編入されたが、明治33(1900)年に、神道金光教会として一派独立した。


☆「第1回摂心」開く
6月10・11日の両日、臨済宗妙心寺派(松山寛惠管長)大本山妙心寺では第1回大衆禅堂摂心が開催された。全国から妙心寺派寺院の檀信徒や一般参加者ら150余人が参集した。


☆第21回日韓仏教交流大会
6月13日、東京・浅草の浅草寺(聖観音宗本山)で、「観音信仰とその実践」のテーマの下、日韓・韓日仏教文化交流大会の第21回大会が開催され、南北首脳会談にも言及する共同宣言を採択した。主催は日韓仏教交流協議会(江連俊則会長)。


☆大谷派「神の国」発言に宗議会で抗議決議
6月13日、真宗大谷派は「神の国」発言に対し、森喜朗首相に撤回を申し入れていたが受け入れられていないことを受け、宗議会で抗議決議を行った。なお、森首相は大谷派の門徒である。


☆南北首脳会談を韓国宗教界が評価
6月13日、韓国最大の仏教宗派曹渓宗(除正大総務院長)は、金大中大韓民国大統領と金正日朝鮮民主主義人民共和国国防委員長による歴史的な南北首脳会談に関連して、「両首脳の出会いは7千万同胞の統一の願いを集めた大切な成果、歴史に残る記念日的事件」と評価した。天台宗(田雲徳総務院長)も同趣旨の論評を発表。祖国統一を願った。


☆教皇暗殺未遂犯人に恩赦
6月13日、十数年前に教皇ヨハネ・パウロ2世の暗殺を企て、終身刑を宣告されていたメーメト・アリ・アグカ受刑者に対してイタリア政府は大統領恩赦を与え、アグカは祖国トルコに送還された。ヨハネ・パウロ2世は事件の直後から、同受刑者へ許しを宣言していた。


☆川田新化主が入山
6月14日、真言宗豊山派第29世管長・総本山長谷寺第83世化主に就任した川田聖定新化主の入山式が、奈良県桜井市初瀬の総本山長谷寺で執り行われ、檀信徒ら約300人が参列した。


☆御影堂の修復が竣工
6月15日、弘法大師の誕生所として知られる香川県善通寺市の真言宗善通寺派総本山善通寺(高吉清順法主)では「善通寺創建1200年」記念事業の御影堂修復工事を竣工した。


☆教皇が200人を招待ホームレスと会食
6月15日、教皇ヨハネ・パウロ2世は、「ジュビリー2000」大聖年行事の一貫として、200人近いローマに住むホームレスの人々を昼食に招き、バチカン(教皇庁)の幹部たちも交えて食事を共にした。バチカンは今年の夏、サンピエトロ広場とそのほか3カ所で、毎日500人分の無料食事を出す予定。


☆カトリック教会司祭の結婚問題で議論続く
3月にウェストミンスター大司教に就任したコーマック・マーフィー・オコナー氏は、カトリック司祭の結婚問題について、「結婚と司祭職は両立しないものではない」と述べた。独身制を廃止すれば司祭の数は確実に増えると予想されるが、この対応には賛否両論で議論は当分続きそうだ。


☆女性牧師職を廃止
米国最大のプロテスタント教会である南部バプテスト教会総会でこのほど、これまで認められてきた女性牧師の職を今後廃止すると採決された。今回の決議は、各地域教会の女性牧師招聘を制限するものではない。


☆ボーン・アゲイン派 アジア系で増加中
米国では、キリスト教原理主義の一派である「ボーン・アゲイン(再生派=永遠の生命がイエス・キリストによって与えられることを信じる)を自任する人々」の社会的構成に変化が起きている。『バーナ・リサーチ』によると、この10年で最も増加したのはアジア系アメリカ人だと言う。


☆女性の礼拝禁止法案
イスラエルでは、宗教政党の「シャス」や「UTJ」が、ユダヤ教の聖地エルサレムの「嘆きの壁」前で女性が礼拝するのを禁止する法案をそれぞれ国会に提出、賛成多数で可決される模様。


☆救世軍が慈善団体のトップに
1999年度の慈善事業年鑑が行った米国の調査で、好ましく思われる団体のトップは救世軍となった。同団体に対する昨年度の寄付金は米国内で120億米ドル(約1兆3,000億円)に達している。


☆インドで初の低カースト出身大司教
このほど、インドのローマ・カトリック教会に史上初のダリート出身の大司教が、ハイデラバードで誕生した。ダリートはインドのカースト制度では極めて低い階級とされている。カースト制度の残るインドにおいて、サンスクリット語で「踏みつけられた者」を意味するダリートは、現在でも社会から疎外されることが多い。インドのカトリック信徒1,600万人のうち、60%以上はダリートに属しているという。前任者のサミネニ・アルラッパ元大司教は、この任命決定について「バチカンはインドの実状を解っていない。ハイデラバードの聖職者の95%以上は、この人選に不満を抱いている」と発言した。



☆ラオス訪問視察
ラオスに小学校を寄贈した工藤尚司・新隆寺住職(埼玉県川口市)と、昨年同国に小学校を寄贈した真言宗豊山派の菅野秀浩事務局長がこのほど、現地に両小学校を訪問した。現地では毎年生徒が増え続けている。


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