■ 宗教界の動き ■


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3月前半の宗教界の動き (0103F)
イスラム原理主義政権タリバンによる仏教遺跡予告破壊が世界の耳目を集めました。

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☆東大寺で修二会始まる
3月1日、華厳宗大本山東大寺(新藤晋海別当)で、「お水取り」と呼ばれる二月堂修ニ会(しゅにえ)が始まった。特に、今年は21世紀最初の年というだけでなく、東大寺の大仏が開眼した天平勝宝4(752)年から数えて1,250回目の修ニ会に当たる。東大寺の修ニ会は、12日の「籠松明」の行事でクライマックスを迎える。


☆泉尾教会で力士と消防訓練
3月1日、大阪市大正区の金光教泉尾教会(三宅龍雄教会長)では、「全国春の火災予防週間」に協賛し、大掛かりな消防訓練を行なった。毎年恒例となっている行事で、この時期同教会を宿舎としている大相撲佐渡ヶ嶽部屋の力士たちをはじめ、地元の幼稚園児も大勢参加し、教派神道系教団の行事としては珍しくテレビも大々的に報じた。


☆法主に宮林昭彦師 浄土宗大本山光明寺
3月2日、浄土宗(水谷幸正宗務総長)では、昨年12月28日に死去した戸松啓真法主の後任にあたる大本山光明寺(神奈川県鎌倉市)の第112世法主に宮林昭彦・大正大学教授(大光院住職)を推戴した。任期は3月2日から4年間。


☆日蓮宗マリアナ諸島で慰霊行事
3月5日から9日まで、日蓮宗国際仏教親交会(加藤日暉会長)は、太平洋戦争末期の激戦地で知られる北マリアナ連邦でサイパン・テニアン慰霊の旅を実施。太平洋戦争末期に同島で戦死した日本軍人や島民の慰霊法要を執り行なった。日本人が数多く訪れる観光地として有名なサイパン島とグアム島の中間に位置するテニアン島は、広島への原爆を投下した米軍のB29爆撃機「エノラ・ゲイ」号が発進した島としても知られ、現在でも、沖縄・ハワイとならぶ合衆国太平洋軍の拠点である。


☆神道関係者 李登輝前総統を表敬
3月9日、神道時事問題研究会(代表片山文彦新宿花園神社宮司)の訪台団一行二十数名が台北市を訪問。昨年まで、中華民国の第3代総統を務めた李登輝氏を表敬訪問した。李登輝氏は、京都大学で学ぶなど知日派として知られ、日本と中華民国(台湾)の間には正式の国交がないにも関わらず、日本国内にも支援者が多い。


☆"新靖国法案"に反対する集会開催
3月9日、日本キリスト協議会(略称NCC)靖国神社問題委員会は、請願法による新たな署名運動の展開を目指して「有事法制下のヤスクニ神社問題:新靖国神社法案の国会提出に反対する」集会を、東京都新宿区の日本キリスト教団信濃町教会で開催。講演とともに、請願署名を集めた体験者からの報告などが行われた。


☆日蓮聖人の舎利堂落慶 身延山久遠寺
3月10日、日蓮宗(渡辺清明宗務総長)の総本山久遠寺(山梨県)で、宗祖日蓮聖人の「舎利(遺骨)」を納めた御真骨堂の再建工事が終了し、関係者を集めて落慶法要が営まれた。


☆"マヤ堂"再建にユネスコも関与
3月12日、全日本仏教会のルンビニー委員会(青地敬水委員長)が都内で開かれ、先月上旬、ネパールで行われた釈尊生誕の聖地であるルンビニー園のマヤ堂再建に向けたネパール側との交渉経過の報告や再建に向けた概略予算などについて検討した。この程、マヤ堂がユネスコの世界遺産に登録されたため、再建にあたってはユネスコとの協議が必要となった。


☆東大寺でお水取り
3月12日、1日から始まっていた東大寺二月堂の修二会が、この日の「籠松明(かごたいまつ)」でクライマックスを迎えた。修二会とは、練行衆(れんぎょうしゅう)と呼ばれる僧侶11人が2週間、二月堂に籠もって、別火別鍋の精進潔斎を行い、本尊の十一面観音に天下泰平などを願う華厳宗きっての秘法である。二月堂の欄干から舞い落ちる火の粉(これを被ると無病息災が保証されると信じられている)を求めて、大勢の人々が参拝した。関西では「本格的な春を招く行事」として親しまれている。


☆米国長老派教会 同性愛者の"結婚"認める
3月13日、米国プレスビテリアン(長老派)教会は、同性愛者の"結婚式"を聖職者が執行するのを禁止しないことになった。教規に禁止を盛り込むという形で出された提案が昨年6月の総会で僅差で承認されたが、この日、反対数が173教区中87教区に達し、教規に必要な過半数の批准を得られなかった。


☆五辻實誠氏・死去
3月15日、「お東さん騒動」の当事者のひとりで、「改革派」として活躍した真宗大谷派元宗務総長五辻實誠師(享年90)が死去した。死因は急性肺炎。葬儀は18日、故五辻師の自坊本浄寺(岐阜県大垣市)で。


☆スリランカで仏教とキリスト教が対立
3月上旬、スリランカの多数派(シンハラ人)を占める仏教徒は、同国内で「援助と交換条件に、キリスト教への改宗を強要している」として福音派のグループを非難。スリランカの福音派連盟は、「このような非難は偽りだ」と反論。連盟側は、「スリランカ国内のキリスト者増加を仏教徒が懸念し、それを阻止するための中傷」とみている。


☆各宗派がバーミヤン仏教遺跡破壊に対する抗議
アフガニスタンを実行支配するイスラム原理主義政権タリバンによる「バーミヤンの石窟仏教遺跡破壊予告」に対し、K・アナン国連事務総長やユネスコ、各国政府などから、破壊中止の要請が相次いでいるが、日本からも仏教系の各宗派はもとより、多くの団体から、「(破壊)中止要請」や「抗議文」が出されている。
宗教協力団体としては、WCRP(世界宗教者平和会議)や全日仏(全日本仏教会)などが要請文を打電。また、真言宗・天台宗・東西本願寺など、宗議会の時期と重なっている多くの仏教宗派からも抗議文が送付された。さらに、教派神道系の金光教泉尾教会からも「破壊行為の即時停止と首謀者の国際法廷における処分」要請が国連宛に提出されるなど、タリバン宗教の「蛮行」に対する批判は宗教を越えて盛り上がった。


☆外国人の結婚式をナポリの教会が締め出し
3月中旬、イタリア南部の世界的観光名所ナポリ湾口に浮かぶカプリ島では、世界各地から「一生の思い出に」と押し寄せる結婚式を挙げるカップルに対して、当地のカトリック教会大司教は「厳格な宗教的価値を備えた本来の儀式を取り戻す」と外国人の結婚式禁止の声明文を出した。


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