■ 宗教界の動き ■


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8月後半の宗教界の動き (0108S)
引き続き「首相靖国参拝」のゴタゴタと共に、アフガンでの予兆が見られました。

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☆英王室 チャールズ皇太子再婚報道を否定
8月16日、英国の王室筋は、チャールズ皇太子の再婚報道を否定した。英国では、来年のエリザベス2世女王即位50周年に際して、チャールズ皇太子と長年にわたって交際を続けているカミラさんとの再婚について、両者が結婚の機会を与えられずに老境を迎えることになるのは、残酷で不合理との見方もあり、女王も追認しているとの見方もあるが、国家元首であると同時に、英国国教会の首長でもある国王の地位に将来就くことが決まっているチャールズ皇太子の再婚は、宗教や法制、憲法なども面から、結婚には問題点が多く、実際には困難と見られている。

☆石原都知事 首相の靖国参拝前倒しへ失望感
8月17日、石原慎太郎東京都知事は、小泉純一郎首相が靖国神社への参拝を13日に前倒ししたことについて、「(太平洋戦争開戦日の)12月8日にお参りするなら問題があるが、8月15日は敗戦記念日。戦争を反省して過ちを繰り返すまいとほぞを固めるためのいい機会。(中国国民が反対意見を自由に言うことのできない=民意の公正な反映ではない)共産党が独裁している国の言い分(靖国神社への首相の参拝への批判)をそのまま聞く必要はない。(日本)国民の(小泉首相の指導力への)期待は薄れたでしょうね。いずれにしろ残念だった」と語り、失望感をあらわにした。

☆本願寺派HPを中国人ハッカー(?)が改竄
8月17日、浄土真宗本願寺派(武野以徳総長、通称:西本願寺)のサーバーがハッカーの不正侵入を受け、ホームページが改竄(かいざん)されていたことが判明した。靖国神社への閣僚の参拝に従前から反対している同派のホームページでは、戦争に加担した宗派の過去を反省し、小泉純一郎総理の靖国参拝を「戦争を美化する卑劣な人権侵害」と強く批判する首相への要請文を13日以来掲載している。

本願寺派のHPには、首相の靖国神社参拝を批判する中国語と英語の文章と、「×印」を付けた小泉首相の顔写真、中国国旗が書き込まれ、中国国歌が流れるようになっていた。靖国神社への閣僚の参拝に反対している本願寺派のサイトが、右翼から妨害されたのなら、それなりの「理屈」が通っているが、いわば、中国や韓国と同じ立場の本願寺派のサイトに、小泉首相の批判文書を掲載するためにハッキングしたとなると、犯人は間違いなく、日本語が完全に理解できないか、もしくは、本願寺派の立場が理解できていない外国人が、単に「靖国神社首相参拝」等のキーワードだけでサイトを検索し、これに攻撃をかけたということの証拠となり、この種の妨害行為が、中国側から行われていることの傍証ともいえる。


☆インドネシア独立記念式典に三宅代表が参列
8月17日、大阪市中央区のホテルニューオータニで開催されたインドネシア共和国独立56周年記念式典に、レルネットの三宅善信代表が招待された参列した。11月には同国のジョルクジャカルタでACRP(アジア宗教者平和会議)が開催され、同氏も正式参加する予定である。


☆日光山輪王寺 薪能15周年

8月17日、18日の両夜、輪王寺薪能が世界遺産である日光山輪王寺三仏堂前の境内で開催された。今年で15周年を迎える同寺の薪能は、伝統芸能の専門家からも高い評価を受けている。


☆平等院鳳凰堂が平安時代の菩薩像を復元
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月18日、京都府宇治市の平等院鳳凰堂内に配置されていた雲中供養菩薩像52体のうち1体が、1052年の創建当時そのままに復元模刻され、公開された。オリジナルの菩薩像は金箔がはがれ、彩色もあせているが、復元像はヒノキに金箔が豪華に施され、平安貴族が願った極楽浄土をイメージした輝きを蘇った。


☆「神道と外来宗教の出会い」セミナー
8月19日、東京・大手町のサンスカイルームで、神道国際学会第5回セミナー『神道と外来宗教の出会い――日本における宗教受容のかたち』が開催され、神道関係者や神道研究者、神道に関心ある人々ら約600人が集まり、各専門家の講演など が行われた。レルネットの三宅善信代表が、ディスカッサントを務めた。


☆大蔵経データベース化に真言宗各派が4750万円拠出

8月23日、真言宗各派総大本山会は、京都市東山区の総本山智積院で常任委員会を開き、日本印仏学会が進めている大蔵経データベース化事業の支援の申し出を受け、4750万円を目標に、高野山が1400万円、智山・豊山の両派が各1200万円、新義・古義15本山合計で950万円をそれぞれ支援することを申し合わせた。


☆靖国神社参拝への世論調査結果に自信 小泉首相

8月23日、終戦記念日を避けて13日に前倒しした靖国神社参拝について、小泉純一郎首相は、「世論調査を見ると7割以上の人が靖国参拝に支持をしてくれている。こういうことを外国の方々ももっと理解してもらいたいと思う」と述べ、靖国参拝を批判してきた中国や韓国を牽制した。首相は世論調査で一転して自信を取り戻したようだ。


☆北山別院問題・元輪番を告訴

8月24日、浄土真宗本願寺派(武野以徳総長)は、「北山別院墓地造成問題」で、(同派の教団規則で定められている手続きである)大谷光真門主の認許を得ずに、借入金2億円の債務保証をした伊井智昭元輪番を背任罪で京都地検へ告訴した。なお、同派内の監正局(宗派内の裁判所に相当)への追加申告は、事件当時の総長、総務ら10人前後が申告されることになるもよう。


☆日本に死刑廃止を強く要求

8月24日、6月にフランスで開かれた「第1回死刑廃止世界会議」に参加したアムネスティー・インターナショナル日本代表団の報告会が明治大学で開かれた。「欧州評議会のオブザーバー国で死刑制度を有しているのは日本とアメリカだけで、死刑のある国は欧州では近代国家とは認められないとして、欧州評議会のオブザーバー資格剥奪もあり得る」との見解が示された。


☆タリバンがインタアーネットへのアクセス禁止
8月25日、アフガニスタンのイスラム教原理主義政権タリバンの指導者ムラー・モハンマド・オマル氏は、同国の国民がインターネットへのアクセスすることを禁止する命令を発表した。インターネットと接続可能なのは、最高指導者の執務室だけとなる。


☆上祐史浩氏 オウム真理教代表に就任?

8月25日、アレフ(元オウム真理教)名古屋支部が、名古屋市西区則武新町から移転準備を進めていた同市中区千代田の賃貸ビルで、道場開きが行われ、上祐史浩幹部を含む信者約30人が集まった。上祐幹部は集まった報道陣に「教団が変わったことを見ていただきたい」と、28日に道場を公開する考えを示した。また、「教団代表に就任するのでは?」との情報について、「そういう流れになりつつある」と認めた。


☆圓佛教の金師 泉尾教会を表敬

8月25日、韓国の有力新宗教の指導者である金仁(キム・インチョル)圓佛教元教政院長が、金光教泉尾教会(大阪市大正区)に来訪し、日韓宗教者協議会会長を務める同教会の三宅龍雄教会長を表敬訪問し、まもなく帰幽(逝去)2周年を迎える日韓宗教対話実現のために30年にわたる交流事業を実践してきた先代教会長(故三宅歳雄師)の霊前に弔意を表した。


☆首相靖国参拝 九州の宗教家が国家賠償提訴へ

8月27日、小泉純一郎首相が靖国神社を参拝したのは「憲法の政教分離の原則に反する」と、憲法20条と99条に違反するとして、福岡・熊本両県の浄土真宗やキリスト教関係者や肉親が靖国神社に合祀されている遺族ら約40人が、国と首相、参拝した閣僚に慰謝料を求めた国家賠償訴訟を福岡地裁に起こすことを決めた。原告団のひとり郡島恒昭師(浄土真宗本願寺派僧侶)は、1985年8月15日の中曽根康弘首相(当時)の靖国神社公式参拝を「違憲」として国家賠償を求めた「九州靖国訴訟」の元原告でもある。


☆各国に現存する万能細胞株を所在を公表
8月27日、米国立衛生研究所(NIH)は、米科学振興協会から公表を求められていた、ヒトの胚性幹細胞(万能細胞)を保存している世界の研究機関名を公表した。米国・スウェーデン・インド・豪州・イスラエルの5カ国10機関に計64の細胞株があるとしている。胚性幹細胞は生体のあらゆる組織、器官になる能力を持つ細胞だが、受精卵を破壊して作るため、「生命の尊厳を冒涜する所業である」と、各国の宗教団体などが反対している。


☆首相靖国参拝を違憲とする千人規模の訴訟を大阪地裁に
8月28日、大阪靖国訴訟の元原告らで構成する「靖国参拝違憲訴訟団大阪準備会(仮称)」が、このたびの「小泉純一郎首相の靖国神社参拝は明白な公式参拝で、国の宗教活動を禁じた憲法20条違反だ」とする訴訟を11月1日に大阪地裁へ提訴する方針を固めた。また、将来にわたる首相参拝の差し止めを求める訴えも併せて提起する。国内の戦没者遺族、韓国・中国などの日本軍に徴用された元軍人軍属の遺族のほか、一般市民にも訴訟参加を呼びかけ、1,000人規模の大原告団結成を目指している。


☆政府「仏様発言」は東京裁判否定ではないとの答弁書
8月28日、政府は、靖国神社へのA級戦犯合祀問題をめぐって小泉純一郎首相が「日本では亡くなるとすべて仏様になる」と発言したことについて、「日本政府はサンフランシスコ平和条約により極東国際軍事裁判(東京裁判)を受諾している。小泉首相も同様の認識を有している」として東京裁判の否定を意味しないとの答弁書を決めた。


☆自民党・小泉首相の前倒し参拝への不満相次ぐ
8月28日、この日開催された自民党全国幹事長会議で、小泉純一郎首相が靖国神社参拝を終戦記念日(8月15日)でなく13日に前倒しして行ったことへの不満が相次いだ。


☆出口紅教主就任を信徒4,000人が祝う
8月30日、4月末に逝去した4代教主昇天後の喪が明けた大本(奥田宗弘本部長)では、亀岡市の万祥殿で出口紅(でぐちくれない)5代教主就任後初の「教主ご就任祝賀全国信徒大会」が執り行なわれ、全国から集まった4,000人の信徒が若い教主就任を祝った。


☆NTT-MEが宗教法人向けのテレビ用ネット端末を開発
8月30日、NTT-MEは、リモコン操作でインターネットが楽しめる、テレビ用セットトップボックスの新機種「わくわくステーションII」を発売すると発表した。「わくわくステーション」の利用形態としては"映像配信型"が増加しており、教祖や開祖が信徒向けに説法を配信する用途などに最適だとしており、宗教法人も大きなターゲットとみなしている。2002年3月までに10万台の出荷を目指している。


☆桜井市で「素麺感謝祭」
8月30日、奈良県桜井市の県三輪素麺工業協同組合(植田一隆理事長)は、地元の大神(おおみわ)神社で「三輪素麺感謝祭」を行った。業界関係者が神前で今夏のそうめんの売れ行きを報告、好調な販売結果に感謝した。


☆チベット人に対するアパルトヘイトが進行
8月31日から南アフリカのダーバンで開催されている国連の「人種主義に反対する世界会議」において、中国チベット自治区から南アフリカへの亡命者が構成する複数の団体が、「中国政府は、チベット人に対し、計画的な人種差別を行使している」として中国政府を非難し、ジャンパル・チョーサン氏は、「新たな形態のアパルトヘイトが中国で進行している。チベットの文化、宗教が脅威に晒されている」と述べた。


☆キリスト教布教の嫌疑で2つのNGO事務所を閉鎖
8月31日、アフガニスタンを実効支配するイスラム原理主義勢力タリバン政権は、同国で援助活動をしているキリスト教系の外国NGOの、「国際援助ミッション(IAM)」(米国)と「サーブ」(英国)の事務所を閉鎖、50人以上の外国人スタッフ全員に国外退去を命じた。IAMは約35年前からアフガンで医療を中心に援助活動を続け、サーブは身障者支援などを行ってきたが、一部のNGOは、「援助活動」より「布教」に重点を置いていたことことも事実であり、タリバン政権側の懸念も一理ある。一方、今回の措置に対して、国連の報道官は「一連の摘発は国際人道援助に深刻な結果をもたらす」と懸念を表明。タリバンに対し、国際法に基づき援助スタッフの安全を確保するよう要請した。


☆新本部長に島本邦彦氏
8月31日、大本(出口紅教主)は、教主交代時の慣例に伴い、総代会を開き、奥田宗弘本部長に代わって島本邦彦・総代会副議長の本部長就任を決めた。島本副議長は人類愛善会長にも就任する。この他、副本部長に総務だった古田光秋・奥原能の両師が任命されるなど総局人事が大きく変動した。


☆"正しい葬儀"を取り戻せ
8月31日、横浜市仏教連合会(都築哲信会長)は横浜市で営業している葬儀社10数社の代表と「第1回横浜市仏教連合会・葬祭業界協議会」を横浜市中区の西有寺(曹洞宗)で開いた。今回の協議会は、昨今の菩薩寺や宗派を蔑ろにした葬儀の増加や、葬儀の形骸化に対し歯止めをかけ、宗教的で厳粛な祈りの場としての葬儀を取り戻すことを目的としたもので、仏教界側33名、葬祭業者側20名がそれぞれの立場で意見を交した。

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