神様がちがっても仲良くなれる!

神様がちがっても仲良くなれる!
ひとつの宗教を信じると、狂信的になって、他の宗教を信じる人を攻撃するもの?私はそう思い込んできた。なにしろ、そういう過激な宣伝をする人たちの方がメディアにも載るし目立つから、そんな人たちばかりなんだと思ってしまう。でも、当たり前のことだけど、そんな人ばかりじゃない。

レルネットで働くようになって、いろんな宗派の方々がお互いにコミュニケーションをとりあって、意見を交換し合っていることを知った。現代的な事象について勉強会を開いたり、異宗教間の協力による援助団体を組織していたり。それも、国内だけではなく、海外の宗教団体とも交流していたりする。それらの中でも私が知った、最大の団体は、WCRP(世界宗教者平和会議)やIARF(国際自由宗教連盟)という団体。

WCRPには世界60ヶ国以上から、IARFにも30ヶ国以上から様々な宗教団体が参加していて、相互理解や宗教協力による国際援助活動をしている。日本ではあまり知られていないけど(私は全然知らなかった)、世界的に認められたNGOで、国連からも諮問機関として国際赤十字社などと同格に分類され頼られている。その構成団体を見てみると、仏教・キリスト教・ヒンズー教・ヒューマニスト・イスラム教・ユダヤ教・神道・シーク教・ユニタリアン・ユニバーサリストなどなど、日本をはじめ世界中の宗教が参加している。

こんなにも多彩な教団がひとつの団体を構成しているということも驚きだったし(キリスト教やユダヤ教とイスラム教が同じ団体に属しているなんて!)、お互いの立場を認め合っているということも全く新しい知識になった。

もちろん、理想ばかりではなく、いろいろな思惑もあるのだと思う。誰が優位に立つかという、権力闘争的なドロドロもあるかもしれない。でも、総論では「人類の平和のために」ということでまとまって、難民救援や紛争の解決に力を尽している。以前の私の感覚なら、違う宗教の人が集まったら、喧嘩ばかりになって先に進むどころか、話し合いもできないんじゃないかと思ってしまう。

 ところが、記憶に新しいところでは、1999年の11月末にヨルダン王国のアンマンで開催されたWCRP世界大会の様子が日本のテレビでも放送されていたけれど、髭をはやしたイスラム教との人もローマ法王のような格好のひとも日本の神道の衣装の人も仲良く並んで、世界人類の平和について話し合っていた。更には、その3ヶ月ほど前に亡くなった、WCRP創始者のひとり、三宅歳雄師追悼の祈りを、ズラリと並んだ各宗教の代表の人たちが行なったのだ。違う宗教の人たちが、一緒に、ひとつのお祈りをしている。それを見たとき、私は感動した。いつか、この地球上から宗教紛争のなくなる日が来るかもしれない…。
宇根希英
                                       2000/2/20

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