宗教と報道

 3月初め、レルネットと縁の深い、金光教泉尾教会で消防訓練の行事があった。ちょうど、ある相撲部屋が大阪場所に向けて宿舎をおいている時期なので、力士たちや近所の幼稚園児も参加して、消火訓練や人工呼吸の訓練など、なかなか微笑ましい光景が繰り広げられた。在阪のテレビ局や新聞社も数多く詰めかけたので、「知っている人が映るかな」と私は夕方のローカルニュースを楽しみにしていた。

 ニュースを点けてしばらくすると、いよいよ「春の火災予防週間」の話題になり、お相撲さんや消防士の人たちが走り回る映像が画面に登場した。そして…「では、次のニュースです」と、アナウンサーがにこやかに次のニュースを読み始めた。うーん、話には聞いていたけれど、金光教の「こ」の字も、泉尾教会の「い」の字も全く出てこないではないか! びっくりした。だって、あるイベントを報道するにあたり、主催者&開催地を抹消して報道するなんて…。

 後で知ったことだけど、私の見たテレビ局だけがなぜか、「金光教泉尾教会」という名前を放送していなかったらしい。しかも、同じ局のお昼間のニュースでは字幕で「金光教泉尾教会」と紹介していたのに、夕方には字幕すら消されていたらしい。局内で何かいわれたのだろうか? 夕方のニュースを見る限りでは、消防署と相撲部屋と地元幼稚園の消防訓練としか映らなかった…。

 宗教界というもの全般が一般社会であまり認識されず、遠い存在とされているひとつの原因はこういった報道体制にあると思う。マスコミで宗教関係のニュースが取り上げられるのは、季節の話題と化した伝統的祭事(東大寺二月堂の「お水とり」や京都八坂神社の「祇園祭」等)か、カルト教団の引き起こした事件ばかり。前者はもはや宗教行事として認識されていないので、「宗教のニュース」として記憶に残るのは、私たちには理解しがたい「怪しい」事件ばかり…。「宗教界」が、いっそう遠のいていく。

 もちろん、報道機関の性格上、特定の教団の宣伝や布教を目的とした放送はすべきではないと思うけど、トルコや台湾の震災に対して各宗教団体が行った様々な救援活動や、日常的に行われている地域的な活動は、もっと報道されても良かったはずなのに…。どうも、宗教というと及び腰になるらしい。

  ね、皆さん、この話に少しでも疑問を感じたなら、恐れずに宗教というものにも触れてみましょうよ。どこから触れて良いかわからないでしょうから、ま、とりあえずレルネットのHPからでも…。あれ、宣伝になってしまった。
                                           

宇根希英
                                       2000/3/24

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