国際セミナー「譲位儀礼と大嘗祭」

2019年3月5日

2019年3月5日、JR東京駅に隣接したサピアタワーにある関西大学東京センターにおいて、公益財団法人としての神道国際学会の平成31年度社員総会と第21回国際神道セミナー『譲位儀礼と大嘗祭』が開催された。

主催者として挨拶する神道国際学会の三宅善信理事長
主催者として挨拶する神道国際学会の三宅善信理事長

社員(会員)総会においては、弁護士でもある同学会の塩谷崇之常任理事が議長に選出されて議事進行に当たった。総会においては、平成30年度の活動報告と決算報告が三宅善信理事長によってなされ、椎名潤監事から監査報告がなされた。また、平成32年度の事業計画案と予算案が三宅理事長からなされ、全て理事会提出の原案通り承認された。注目されたのは、長年、大口の寄付を行ってきた団体から今後の寄付打ち切りの通告が直前にあったことを受けて、今後の学会運営の方法について執行部で早急に対処法を考えることを条件に、会員への協力を呼びかけた。

佐野先生、松本先生、パイ先生、岩澤先生、芳村先生
佐野先生、松本先生、パイ先生、岩澤先生、芳村先生

続いて、第21回国際神道セミナー『譲位儀礼と大嘗祭』が始まった。最初に、三宅善信理事長から開会の挨拶があり、皇學館大学の佐野真人助教が『大嘗祭における太上天皇の役割』と題して、「大嘗祭の経験者」である太上天皇(上皇)が即位する新帝に詳しく大嘗祭の手順について教えられた内容について詳しく解説した。二番手は、横浜市立大学の松本郁代教授が『中世における即位儀礼と神仏』と題して、地上世界に光をもたらす存在であると認識されてきた天皇が、大日如来と一体化するための「即位灌頂」としての大嘗祭が捉えられてきたと分析した。最後に、マイケル・パイ会長が『現在の即位の礼と大嘗祭の宗教要素について』と題して大正帝、昭和帝のご大典の画像を紹介して持論を展開した。

フロアも交えて熱心な討議が行われた
フロアも交えて熱心な討議が行われた

休憩に続いて、麗澤大学の岩澤知子教授をモデレータに、三人の講師に加えて、芳村正徳神習教教主がパネリストに加わって、さらに議論を深めた。フロアからの質問の中には、「即位儀礼と仏教の灌頂の関係を論じる際には、ブータンやタイといったアジアの仏教国の国王の即位灌頂との比較という視点を加えてはどうか」とか「大嘗祭の神饌物には、米以外に粟も重要視されているが、従来の研究が、天皇と稲作の関係にのみ注目されていなかったか」などの興味深い視点からの意見が表明され、大いにディスカッションが盛り上がった。最後に、この会場を提供した関西大学の教授でもあるアレック・ベネット理事が、神道国際学会を代表して閉会の挨拶を行った。

神道国際学会の役員と講演者諸師
神道国際学会の役員と講演者諸師

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