ドイツで第10回WCRP世界大会

2019年8月20日〜23日

2019年8月20日から23日まで、ドイツ最南端のボーデン湖に浮かぶ小島「リンダウ」で、世界125カ国から約900名が集って、第10回世界宗教者平和会議世界大会が『慈しみの実践:共通の未来のために、つながりあういのち』をテーマに開催された。三宅善信代表は、1979年の第3回プリンストン大会以来7大会連続で参加した。なお、本会議に先立つ8月19日には、終日、女性事前会議と青年事前会議が開催された。

地元紙に紹介された平和行進の様子
地元紙に紹介された平和行進の様子

20日朝のビジネス会合(投票権のある各国代表による意思決定機関)に続いて開催された開会式では、4人の共同議長による開会挨拶に続いて、ドイツ連邦のフランク・シュタインマイヤー大統領による歓迎挨拶が行われ、東方正教会の全地総主教のバルトロマイ1世、ムスリム社会における平和推進フォーラム会長のシェイク・アブドラ・ビンバイヤ師、レリジョンズフォーピース(RfP:世界宗教者平和会議)事務総長のウイリアム・ベンドレイ博士が基調発題を行った。RfP共同議長のひとりシャンティ・アシュラム代表のビニュ・アラム博士が『信仰に基づく誓い』の朗読と集合写真で開会式を終えた。

東方正教会の全地総主教バルトロマイ1世と三宅善信代表、開会式で歓迎挨拶をするドイツ連邦のフランク・シュタインマイヤー大統領
東方正教会の全地総主教バルトロマイ1世と三宅善信代表、開会式で歓迎挨拶をするドイツ連邦のフランク・シュタインマイヤー大統領

午後から予定されていた「平和行進」は雨天のため、翌日に順延され、全体会議1『つながりあういのち:積極的平和における諸宗教によるビジョン』が、アラム共同議長の進行で、RfP欧州委員会会長のトマス・ウィブフ博士の発題と、ノーベル平和賞受賞者のジョゼ・ラモス・ホルタ元東チモール大統領、スティーブ・キレリー経済平和研究所会長、ジョージット・ベネットタネンバウム宗教理解センター会長がパネリストを務めた。その後、5つのセッションに分かれて分科会が開催された。

21日朝、特別セッション『平和推進者としての中東・北アフリカ地域の女性による対話』が催され、ドイツプロテスタント教会諸宗教間対話担当主教のペトラ・フーバー師がモデレータを務め、チュニジア新憲法制定議会副議長を務めたメレージア・マイザ師、イラクの前国会議員レイラ・アルファッジ女史、エジプトの中東教会協議会代表のナビラ・マクラム大臣、前駐米バーレーン大使のフダ・アザール・ヌヌ師らがパネリストとなってすべて女性によるセッションが行われた。

平和推進者としての中東・北アフリカ地域の女性による対話
平和推進者としての中東・北アフリカ地域の女性による対話

続いて開催された全体会議2『つながりあういのち:戦争やテロ等の紛争を予防し転換する』では、国連宗教・開発タスクフォースコーディネーターのアッザ・カラム博士がモデレータを務め、RfPミャンマー委員会の代表とナイジェリアのムハンマド・サアド・アブバカル3世とジョン・オナイエケン枢機卿らが報告を行い、ノーベル平和賞受賞者のベアトリス・フィンICAN事務局長が「軍縮におけるアクションポイント」を発表した。

分科会で発言する三宅善信代表
分科会で発言する三宅善信代表

午後からは、リンダウの街を会議場から公園までの「平和行進」を行い、一般市民ならびに世界中からこの街を訪れている大勢の観光客にも世界の宗教者が協力して平和構築のために活動していることを訴えた。その後、分科会と、非公開のビジネス会合、大会運営委員会、宣言文起草委員会、次期国際役員・事務総長指名委員会等が断続的に開催された。

旧知のファイサル・マアマアアルKAICIID事務総長、米国ユダヤ人諸宗教対話部長のデビッド・ローゼン師、チュニジア新憲法制定議会副議長を務めたメレージア・マイザ師らと言葉を交わす三宅善信代表
旧知のファイサル・マアマアアルKAICIID事務総長、米国ユダヤ人諸宗教対話部長のデビッド・ローゼン師、チュニジア新憲法制定議会副議長を務めたメレージア・マイザ師らと言葉を交わす三宅善信代表

22日朝、ビジネス会合に続いて開催された全体会議3『つながりあういのち:公正で調和のある社会を促進する』では、ドイツのジャーナリストイサベル・ジャヤニ氏のモデレートで、国連難民高等弁務官事務所のドミニク・バルチェ代表の発題と、ガンジー開発財団理事のエラ・ガンジー女史と、ウガンダムスリム最高評議会指導者のシャバン・ラマダン・ムバジェ師とジョン・バプティスト・オダマ大司教がパネリストを務めた。

午後には、アジア、アフリカ、欧州等の地域に分かれて、地域別会合が持たれた。また、夜の18:30から21:30まで、豪華客船を借り切ってボーデン湖の周遊ディナーが催され、湖水上とは言え国境の湖なので、オーストリアとドイツとスイスを回ったことになる。船中では、日頃、滅多に合うことができない各国からの参加者と交流が持たれた。

元バチカン諸宗教対話評議会局長のフェリックス・マチャード大司教、カナダの先住民の族長ドミニク・ランキン師と言葉を交わす三宅善信代表
元バチカン諸宗教対話評議会局長のフェリックス・マチャード大司教、カナダの先住民の族長ドミニク・ランキン師と言葉を交わす三宅善信代表

最終日の8月23日、朝から全体討議4『つながりあういのち:持続可能な総合的人間開発を促進し地球を守る』では、持続可能な開発センター所長のジェフリー・サックス教授のモデレートで、米国ユダヤ人諸宗教対話部長のデビッド・ローゼン師、ノルウェイ国教会オスロ名誉主教のグナール・シュタルセット師、ブラジル先住民の指導者ソニア・ガジャジャラ女史がパネリストを務めた。

イラクのクルド人代表から現地の情勢を取材する三宅善信代表
イラクのクルド人代表から現地の情勢を取材する三宅善信代表

続いて開催された閉会式では、世界の各宗教の11人の代表が登壇して「宣言文」を順次交代で読み上げ、これを採択した。さらには、25年間の長きにわたって国際事務総長を務めた米国のウイリアム・ベンドレイ博士の退任に伴い、世界宗教者平和会議史上初の女性国際事務総長されたエジプト出身でUNFPA(国連人口基金)社会・文化開発シニアアドバイザーのアッザ・カラム氏が紹介され、ベンドレイ博士の謝辞とカラム新事務総長の就任挨拶をもって世界宗教者平和会議第10回世界大会は閉幕した。

「宣言文」を読み上げる黒住宗道黒住教教主
「宣言文」を読み上げる黒住宗道黒住教教主

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