三宅善信代表が亀井静香金融・郵政担当大臣と対談  10.4


  2009年10月4日、亀井静香金融・郵政改革担当大臣が三宅善信代表宅(大阪市大正区)を訪問した。鳩山内閣の閣僚として、そのドラスティックな言動が注目されている亀井大臣と三宅代表とは、亀井氏がまだ自民党の政調会長の頃、大規模公共事業の見直しの目玉政策として、島根県東部の中海の干拓事業を中止させた時代から親交がある。


話が盛り上がる亀井静香大臣と三宅善信代表

  亀井氏は、21世紀に入って以来、日本人が営々と築き上げてきた富を食いモノにしようという米国に誘導されたこの国の指導者が執り続けてきた『新自由主義経済(=マネー資本主義)』いわゆる「小泉・竹中路線」に対して、徹底して「否」を唱えてきた人物である。結果的には、この国に「格差社会」という歪みをもたらしてしまった「新自由主義経済」に対して、亀井・三宅両氏は、政治家・宗教家という立場の違いを超えて一貫して反対してきた。その結果は、昨年秋の米国発の金融危機に端を発する世界同時不況によって、完全に証明された。

  鳩山内閣の閣僚として最もテレビ出演の多い亀井大臣は、その超過密スケジュールにもかかわらず、再三来阪して三宅代表と意見交換をしている。八月三十日には、「天下分け目の総選挙」の投開票日という大変忙しい日程であるにもかかわらず、三宅代表の亡祖父である「三宅歳雄師を偲ぶ会」に長時間列席するなど、その特別の関係は宗教界でも注目されている。三宅代表の著作『文字化けした歴史を読み解く』で対談していることからも見て取れる。三宅代表の思想は、経済に関する限り、「アンチ新自由主義経済」論のラディカルさにおいても亀井氏と相通じるものがある。

  4年前、「郵政民営化さえすれば日本の経済は良くなる」と言って、自民党政権に300議席をもたらせた小泉首相(当時)による『郵政選挙』で自民党を追われて以来、「郵政民営化の反対」を党是の『1丁目1番地(=最優先課題)』としてきた国民新党代表の亀井氏が、郵政改革担当大臣となったからには、郵政民営化のプロセスを逆戻ししようとするのは当然としても、大臣就任早々「銀行から融資を受けている中小零細業者や、借金で困窮している個人に対してモラトリアム(支払い猶予)を実施する!」と打ち上げたから、回復の兆しを見せていた金融関連銘柄の株価は、仰天して一気に下がった。いわゆる『亀井ショック』である。


発言に熱が籠もる亀井静香大臣

  この「モラトリアム」発言に対して、当の金融業界だけでなく、マスコミ各社や政治・経済評論家たちも一斉に批判を展開した。その多くは、銀行から融資を受けている中小零細業者の「モラル・ハザード(自己規律の欠如)を招く」というものであった。しかし、よく考えてみれば、この十年間、大手金融機関の破綻を回避するために「公的資金」という名の血税を湯水の如く注ぎ込んでこれを救済したことは、モラル・ハザードではなかったのか…? 今また、とある航空会社の経営破綻を防ぐために2,500億円もの巨額の債権放棄を迫っていることは、モラル・ハザードではないのか…? これらの行為が皆、「日本を代表する大企業だから潰すわけにはいかない」という理由だけで許されて、毎月滞りなく銀行からの融資を返済し続けている中小零細業者から、銀行側の勝手な理由(=BIS規制による自己資本比率8%の確保)によって生じる「貸し剥がし」行為は、モラル・ハザードではないと言えるのか…? などと、亀井静香大臣は大いに気炎を上げた。


三宅善信代表もジャブで応戦

  それに応えて、三宅善信代表は、千数百年の昔、当時は上町台地を除く一面が海岸線の深く入り込んだ低湿地帯であった摂津国の難波(なにわ)の高津宮(たかつのみや)(=現在の大阪市中央区)の地で、大型船が入港できるように「堀江」を開削したり、淀川と旧大和川の合流による氾濫を防ぐため「茨田堤(まんだのつつみ)」を建造するなど「大規模公共工事」が大好きであった仁徳天皇――洋の東西を問わず、大規模公共工事を好む帝王は、徴用される民衆の側からは嫌われるのが常であるが、この天皇は、世界最大の墳墓と「仁徳」というその立派な諡(おくりな)からしても、人々から相当慕われたのであろう――が高津宮の高楼からの難波の街を見下された時、夕餉(ゆうげ)時にもかかわらず、庶民の家々から煙が立ち上っていないことに気づかれ、朝臣に尋ねたところ、「庶民の生活が苦しい」と知り、これを憂われて、三年間税金を免除した後、再び高楼に昇って国見をされた際、家々から盛んに煙りが立ち上っているのをご覧になって「民の竈(かまど)は賑わい増しぬ」と喜ばれたという故事からも明かなように、「百年に一度」という未曾有の経済不況を脱するためには、「三年間のモラトリアム」を実施するぐらいの発想の柔軟性がなければ、力強い経済の回復はとても期待できないであろう。と亀井大臣の決断を応援した。


亀井静香大臣と三宅善信代表、一歩も引けを取らず

  他にも、低迷する株式相場の回復方法をはじめ、日本の資本市場をいかに正常化させ、いかに世界中から資金を日本に集め、もって国民の福祉の向上に当てるか等について、45分間の長きにわたって意見交換を行い、近日中の第2ラウンドの実施を約束してこの日の対談は終了した。



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