三宅善信代表 メルボルンで万国宗教会議に 12.1〜6

 三宅善信代表は、2009年12月1日から3日まで、オーストラリア・ビクトリア州のホーリークロス会研修センターにおいて開催された国連「平和のための諸宗教間と諸文化間の対話と相互理解と協力の十年」の準備会議と、引き続き、メルボルン市のコンベンション・アンド・エキジビション・センター(CAEC)で、ダライ・ラマ14世法王をはじめ世界中から約三千名の宗教者を集めて開催された万国宗教会議2009に参加した。


◆国連「平和のための諸宗教間と諸文化間の対話と相互理解と協力の十年」

 米ソ冷戦終結後の世界理解のモデルとして、ハーバード大学のサミュエル・ハンチントン教授が提唱した『文明の衝突』に対抗する形で、2001年9月に開催される国連総会は、当時のイランのモハマド・ハタミ大統領が提唱した『文明間の対話』というテーマで行われる予定であったが、ちょうどその日に、イスラム原理主義勢力による「9.11」同時多発テロが勃発し、その後の世界がブッシュ政権のリードの下、「テロとの戦争」という際限のない暴力の応酬に拡大していった。


2006年にイランのハタミ前大統領と
会談した三宅善信代表

 それから十年の歳月を経過し、新たに国連総会の決議によって、2011ら2020年までの十年間を国連「平和のための諸宗教間と諸文化間の対話と相互理解と協力の十年」(略称:「国連宗教対話と理解の十年」または「UN DECADE」)と規定し、真の国際平和の確立と維持のために、諸宗教間で対話と理解を進めることになったが、これを受けて、国連経済社会理事会に総合諮問資格を有する国際NGOを中心に、この意味ある十年間を国益のぶつかり合いの場である政府間のパワーゲームにすることなく、人類社会にとって真に意味のあるものにするために、チリのヘラルド・ゴンザレス博士が提唱し、宗教界が積極的にイニシアティブを取るように活動を始めた。

 カトリックの修道会のひとつホーリークロス会の研修センターで開催された今回の準備会議には、提唱者で事務局長を務めるゴンザレス博士をはじめ、ニューヨークに拠点を置くレリジョンフォーピース(世界宗教者平和会議) やYOU(理解の殿堂)や、最近、発展がめざましい諸宗教対話団体であるCPWR(万国宗教会議のための評議会:本部シカゴ)やURI(宗教連合イニシアティブ:本部サンフランシスコ)、さらには、老舗の諸宗教対話団体であるIARF(国際自由宗教連盟:本部大阪)に)やWCF(世界信仰会議:本部オックスフォード)の代表、また、国連欧州本部のあるジュネーブに拠点を置くWCC(世界キリスト教協議会)やCONGO(国連NGO協議会)、また、YMCAの国際連盟やボーイスカウトの国際連盟、さらには、WFB(世界仏教連盟)やユダヤ教・ヒンズー教・バハイ教・シーク教・ゾロアスター教などの宗教別の国際連合体の実務の代表が、2009年3月のニューヨークでの準備会合に続いて参加した。


DECADE全体会合で発言する三宅善信代表

 12月1日の午前と午後は、WCCのS・プレマワルダナ諸宗教対話委員長やユダヤ教のデビッド・ローゼン宗教対話委員会会長やIARFのジョン・テイラージュネーブ代表ら十名からなる運営委員会が開催され、今回の会議の大枠が協議された。この日の夕食後から、レリジョンフォーピースのスタイン・ヴィルムシュタット国際副事務総長が議長を務めて開催され、今回の参加者の自己紹介と明日からの協議の議題案が承認された。

 翌2日は、3月以来の本会の運営委員会の活動報告がヴィルムシュタット議長から行われ、各加盟団体からの活動報告が付け加えられた。ここで一番問題となったのは、「FBO(宗教に基づいた団体)」と国連との関係のあり方をどう構築していくかであり、第64回国連総会に対していかにしてDECADEの理念を反映させるかについて協議された。この日の午後は、国連との共同作業や各国政府との関わり、各国連機関との共同作業、さらには、DECADEの方向性をどう付けていくか等について、4つの分科会に分かれて協議を行った。夕食後は、世界各国から数千名の宗教者を集めて開催される「万国宗教会議」において、DECADEの認知度を高めるためのプレゼンテーション用のビデオやリーフレットの中身について検証した。


DECADE参加者による記念撮影

 3日の午前中は、運営委員会の地位や職務規定について協議し、また、万国宗教会議で行われるDECADEのパネルやシンポジウムの中身を検証し、いかにこの活動を世界の宗教界に広めるかの方法論について話し合い、次回の会議の開催期日や場所等を決めて閉会した。なお、本会議に、諸宗教対話の世界で30年以上の経験を有する三宅善信代表が3月のニューヨークでの会合に引き続いて参加した。本会議に日本から参加していたのは、創価学会インターナショナル・立正佼成会・金光教泉尾教会の3教団である。


◆万国宗教会議2009が開幕

 三宅代表は、12月3日から9日までメルボルン市のCAECで開催された万国宗教会議(Parliament of the World Religions)に、日程の関係で6日まで参加した。今回の万国宗教会議には、ダライ・ラマ14世をはじめとする世界各国から約三千名の宗教者はいうまでもなく、ジミー・カーター元米国大統領やメアリー・ロビンソン元アイルランド大統領ら退任後も国際的な視野で活躍する政治指導者、さらには、アボリジニーへの先住民政策で国際社会をリードするオーストラリアに学ぼうと、北米先住民(ファーストネーション)や中南米のインディオや日本のアイヌなども数多く参加した。


開会式に列席した三宅善信代表

 コロンブスの「新大陸発見四百周年」を記念して1893年にシカゴで開催されたコロンビア万国博覧会の際に、数千人の参加者を集めて世界ではじめての諸宗教による国際会議「万国宗教会議」が開催されたが、その精神を引き継いで、百周年に当たる1993年にシカゴで開催されたのが今日の万国宗教会議の経緯である。それ以後、1999年には南アフリカのケープタウンで、2004年にスペインのバルセロナで万国宗教会議が開催されたのに続き、第4回目の万国宗教会議が『違いを認め合う世界を創り出そう:互いを癒し、地球を癒す』をテーマに、オーストラリアのメルボルンで開催されることになった。

 12月3日夜の開会式は、ロイヤル・メルボルン交響楽団とアボリジニーのコラボレーションによる音楽ショーの形式を取った。ビクトリア州のダビド・ド・クレッセル総督による歓迎の辞と、万国宗教会議理事会議長のウイリアム・レシャー博士による開会宣言で幕を開けた。続いて、ユダヤ教改革派宗教行動センター理事長のデビッド・サパースタイン師による基調講演を行った。このレシャー博士とサパースタイン師は、二人とも、2008年6月末に三宅善信代表が事務局長として取り仕切ったG8宗教指導者サミット2008において、全体集会の基調講演者とまとめの講評を行った人物である。


万国宗教会議理事長のレシャー博士と三宅善信代表

 ここからは、ゾロアスター教、ヒンズー教、ジャイナ教、シーク教、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、バハイ教の順でお祈りを行い、その間に、オーケストラとアボリジニーによる音楽とコーラスが雰囲気を盛り上げ、アフガニスタン教育研究所のサケナ・ヤコービ創設者とインドの芸術生活財団創設者のラビ・シャンカル創設者による基調講演が行われていた。さらに、神道を代表して神道国際学会の梅田節子事務局長とメラーニー・シンタク同ワシントン駐在代表が祈りと舞を捧げ、地元ビクトリア州のジョン・ブルンビ首相からの歓迎の辞が述べられ、今大会の議長を務めるゲイリー・ブーマー教授の閉会の辞で、開会式は終了した。

 翌4日から8日までは、毎日、朝8時から夕方6時まで、30の部屋に分かれて、約120組もの講演、パネル討議、実演、ワークショップ等が同時並行的に開催さて、それ以外にも、朝夕には開会式の行われた大会場で全体集会が行われた。


三宅善信代表のレクチャーと質疑応答で盛り上がるワークショップ

 三宅善信代表は、5日朝に『神道における自然観』に関するワークショップを開催し、伝統的な雅楽の演奏に合わせながらも、英語による神道儀礼の執行やレクチャーを約40分間行い、ワークショップに各国から参加した人々からの質問にも20分間にわたって丁寧に回答した。このレクチャーは評判だったようで、三宅代表は、その後、地元のテレビ局の特設スタジオに招かれて番組収録をし、また、国際ラジオ放送からの出演依頼にも応えて、12分間にわたって日本人の宗教観や自然観について講演し、捕鯨問題などオーストラリアにおいては微妙な問題についても、逆に「水子供養」の問題などを例に挙げながら、視聴者に解りやすく語りかけた。

 なお、本会議に日本から参加していた教団は、黒住教、金光教泉尾教会、神道国際学会、全日本仏教会国際委員会、禅文化研究所(臨済宗)・創価学会、立正佼成会、神慈秀明会、崇教真光、白光真宏会、幸福の科学などの教団・団体から代表が参加し、それぞれワークショップやプレゼンテーションを行っていた。


三宅善信代表は随従と共に伝統的な装束で街に繰り出し、
地元紙に紹介されるなどメルボルンの人々の注目を集めた

 



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