三宅善信代表 日米安全保障フォーラムに出席

12/06

  2010年12月6日、大阪市北区の大阪大学中之島センター佐治敬三メモリアルホールを会場に、日米安全保障フォーラム『日米同盟の将来:東アジアの安全保障と核政策』が、ハワイに本拠を置くパシフィック・フォーラムCSIS主催、大阪大学大学院国際公共政策研究科国際安全保障政策研究センターとアメリカ総領事館広報部の共催のもと、関西の各大学の研究者やマスコミ関係者約百名を集めて開催され、三宅善信代表も参加した。


日米安全保障フォーラム会場の盛況ぶり

 日米安保条約改定から50周年に当たる2010年、鳩山政権による普天間基地移設問題を巡る迷走から日米同盟が大いに揺らいだことは言うまでもない。そのことが、中国による尖閣諸島事件への強硬な態度やロシア大統領による北方領土訪問という、日本固有の領土に対する外国の干渉を招き、一般の日本国民をして大いに日米安保の重要性を再確認させたのは、皮肉な結果である。そのことは、北朝鮮によるヨンビョンド(延坪島)砲撃事件によって「今、ここにある危機」となって顕在化した。

 そのような状況下で、オバマ政権の登場によって「核なき世界」と「核の傘」という二つの重要な核政策を共有するパートナーである日本とアメリカが、緊迫の度合いが高まる北東アジアでどのような役割が果たせるかを話し合うパネルディスカッションが開催された。最初に、モデレータ役のラルフ・コッサ、パシフィック・フォーラムCSIS理事長から趣旨説明が行われ、ブラッド・グロッサーマン同エグゼクティブ・ディレクター、星野俊也大阪大学大学院国際公共政策研究科教授、ダニエル・クリマン新米国安全保障センター客員研究員、小谷哲男岡崎研究所特別研究員らによって各々数分間ずつの発題が行われた後、「アメリカ流」のフォーラム形式で、直ぐに、フロアからの質問に入った。


日米安保問題の専門家に質問する三宅善信代表

 三宅善信代表は、「中国の勃興、北朝鮮の暴走、中台あるいは南北朝鮮といった歴史の負の遺産といった問題を抱える東アジアは、決して安定していない」と主張するグロッサーマン博士に対して、「日本はアメリカの核の傘を本当に信頼して良いのか? ソ連が仮想敵国であった頃は、アメリカは日本を守るためにソ連と全面的に事を構えたとしても、対ソ貿易・投資等が極めて小さいために大した損益は発生しない(だから、日本を守ってくれる)が、今や世界の経済大国となった中国と米国はすでに深い経済的相互依存関係になっており、日本を中国の核から守るために、最大の米国債購入国であり、外貨(米ドル)準備高保有国である中国とアメリカは事を構えることを避ける(日本を見捨てる)かも知れないのでは?」と質問を浴びせた。


パシフィック・フォーラムCSISのラルフ・コッサ理事長と意見交換する三宅善信代表

 また、「NPT(核不拡散条約)体制に反対している北朝鮮やイラン、あるいは、NPTに加盟していない核保有国のインドやパキスタンが存在するアジアの状況下において、中国や北朝鮮は(軍事的な制裁もあり得る)国連安保理よりも六カ国協議の枠組みを優先させたい狙いがあり、その意味で、日米韓三国の緊密な軍事的連携が必要」と述べた星野教授に対しては、「北朝鮮の暴発を抑止するために、日米間三国の緊密な軍事的連携が必要なのは解るが、日米と米韓とはそれぞれ“同盟”関係にあるが、日韓はそういう関係ではない。つまり、日米間は正三角形ではなく、アメリカを頂点にした二等辺三角形であり、当然のことながら、北朝鮮は追い込まれたら、竹島問題や歴史認識問題等を持ち出して“南北共通の敵ニッポン”を演出し、容易に韓国民はその作戦に乗せられるであろうから、中朝の軍事的連携に対抗する日米間の軍事的連携はそれほど容易ではないのでは?」と問いかけた。

  このようなパネリストとフロアとの活発なディスカッションが約2時間も行われ、関西では珍しい政治的にも軍事的にも中身のある(註:日本でありがちな、イデオロギーや観念論としての「平和論」や「反核論」ではないという意味)フォーラムであった。



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